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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

色あせたハンカチ。其の三

~初体験は愛する人と!~
色あせたハンカチ07
私が初めて女性を知ったのは、高校生になって間もなくの事だった。
先輩に連れられて隣り町にまだ残っていた女郎屋に行って、体験したのである。

相手の女性は四十を過ぎた戦争未亡人で、部屋に入るとすぐ私のズボンを脱がせてくれ、
洗面器に溜めて有った水でチョンチョンとチンポを洗った後、座布団の上にゴロッと
横に成ってスカートを捲り上げた。その下はノーパンで、ブョブョとした白い下腹部に、
モジャモジャとした毛がいかにも猥褻に繁っていた。

「早く入れて・・・時間がないから・・・」
厚化粧の顔に媚びた表情を浮かべて急がせる。期待していたムードも、
情緒も欠片ほどもなく、其ればかりか薄汚い印象でしかない。
それでも性欲は勝手に膨れ上がってくる。私は夢中で女の体を抱き寄せ、
痛いくらい張り詰めて高まったチンポを女体に挿入していったのだった。

終わってから初体験をしたという、感激は微塵も感じる事は出来なかった。
むしろ、こんなにも味も素っ気もない初体験なら、千擦りのほうが数倍も気持ち良く、
気分的にも楽しかったという虚しい虚脱感だけが残った。

初体験は愛する奈津とするべきだったと、その時に成って初めて後悔した。
もっとも幼馴染の奈津を、本当に愛していたかどうか判らない。
それは性を意識し始めた頃からの、淡い願望だった。

始めにセックスありきで、奈津とならその後も愛を育む事が出来ると信じて居たのだ。
結局は、誘惑に勝てずに、つまらない童貞の捨て方をしてしまったのだが・・・。

「さあ、お立ち合い・・・」
一際大きな声で、私はふと我に返った。羽織、袴姿の香具師が、抜く身の日本刀で
懐紙を「二枚が四枚、四枚が八枚」と切っている。
例の『ガマの油売り』の流れるような口上だ。奈津も興味を魅かれたらしい。
足を止めると、その声に誘い込まれたように、身じろぎもせず香具師の一挙手一投足に
熱い視線を注いでいた。
 
色あせたハンカチ08
香具師が羽織の袖を威勢良く捲り上げて、日本刀で自分の腕を切り、
「ガマの油をチョイと付ければ、この通り血が止まるどころか傷痕さえ残らない」
とやった時に奈津の口から思わず。「インチキよ」と言う声が漏れたのである。

其の声は香具師の口上に周囲が静まり返っているため、小声でも妙にはっきりと響いた。
当然、香具師の耳にも・・・
「なにっ!!そこの小娘、そんなこともう一遍言って見ろ」
香具師は怒りを露にして、日本刀の切っ先を奈津の胸元に突きつけて来た。

香具師が怒るのも無理はない。ガマの油売りなんて言うのは、
日本刀に本当に切れる部分と、刃を止めて血糊が出る様に細工された部分があって、
インチキなのは誰も知っている。客は香具師の芸術ともいえる口上と演技だけで、
騙されていると判って居ながら、祭りだから買っていく。

それを、面前でインチキ呼ばわりされては、香具師の面目がたたないのだ。
「奈津ちゃん、ヤバイよ」
「どうしいて?インチキはインチキよ」
「ううっ・・・まだ言うか。ブッた斬ってやろうか」

香具師は日本刀を振り翳すと、一歩踏み出して来た。もっとも本気で斬り付ける
心算はなさそうだ。が、やっている事はそれなりに真に迫っていた。
「小父さん勘弁、かんべんな」
私は奈津の手を掴んで、脱兎の如くその場から逃げ出した。

鎮守の境内を掛けながらながら抜け出して間もなく、積乱雲が太陽の陽射しを
遮ったかと思うと、大粒の雨が私たちを叩くように降ってきた。

「ずぶ濡れになっちゃう」
「雨宿りの出来る所を探さなくちゃ」
私達は家に向かって走り続けた。

「あそこがいい」私は走りながら、材木小屋が近くにあった事を思い出した。
「どこ?」奈津が雨に濡れた顔を拭きながら、聞き返してくる。
「材木小屋だよ」
「ああ、子供の頃二人でよく遊んで、小屋の小父さんに叱られた、あの小屋ね」
「良くつまらない事まで覚えているね」

私達は鎮守から続く道を左に折れ、山裾に有る材木小屋まで、
ぬかるみの道を駆けて行った。
色あせたハンカチ09
材木小屋は杉林に覆われるようにして、昔のまま建っていた。
伐採した材木を搬出する為のトロッコの錆びたレールが撤去されずに残っていた。
小屋の一キロほど先には私と奈津の秘密の場所と呼ぶ泉が沸いている沢がある。

小屋の中には樵夫(きこり)たちが休息を取る為の六畳ほどの部屋がある。
部屋の真ん中に自在鉤(かぎ)が下がった囲炉裏が切られてあった。
私達はその小屋の中に、ハッハッと息せききって上がり込んだ。
そして、畳が濡れるのも構わず、囲炉裏端に倒れ込むように座った。

安堵した途端可笑しさが込み上げて来た。香具師に向かってインチキ呼ばわりして、
叱られた時の奈津の膨れっ面が、境内で売っていたセルロイドのヒョットコのお面と
ダブって見えたことを思い出したのだ。

「一人笑いして、いやね。雅さんたら何がそんなに可笑しいの?」
奈津は濡れた髪を、ハンカチで拭きながら、不満そうに言った。
「ホラ、その顔・・・ヒョットコみたいだ。そんな顔しているとモテなくなるよ」

私はからかい半分に言った。すると、奈津は「雅さんの馬鹿ッ」と言って、
私の胸を両手で叩いた。其の一撃が油断していたため、まともに鳩尾に入った。

「うっ!!」
女の軽い力でも、息を抜いていた時のそれは、息が止まるほど苦しい。
私は鳩尾を押えながら、その場に体を丸めて屈み込んだ。
「ごめん、雅さん、そんなに痛いの」
奈津は心配そうに私の顔を覗き込み、背中を撫で擦ってくれた。

痛みは次の息継ぎで、直ぐに消えた。だが私の中で奈津をもう少し困らせてやろうという、
悪戯っ気が頭をもたげて、ウンウン唸りながら、痛がる演技を続けていた。
「大丈夫、ねぇ、大丈夫。本気で殴ったんじゃないのに、ごめんね、ごめんね」

奈津は半ベソをかいて、私に謝り、背中を撫で続けた。目と目があった。
奈津の大きな瞳が涙で濡れている。其の目に私はウインクを送った。
  1. 色あせたハンカチ
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アヤメ草

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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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