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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の五

◇指の生命(Ⅱ)
名称未設定 1396
辰雄は力を込めてその肩を抱きしめたが、
怒ったように只黙りこくって歩を進めるだけだった。

今にも辰雄が、がっちりとした其の腕で力強く抱いて唇を吸って呉れるのでは無いかと、
期待して志津子は恐ろしくも有るが、又恥ずかしくも有ったが、自分は其れを、
どう受け止めたら良いかと思案しながらも密かに心弾ませて、俯いて歩いていた。

楽しい夜道は短く、何事も起こらぬ侭に家の前に着いて
淡い志津子の期待は裏切られた。

辰雄の手の中からスルリと抜けた志津子は恨みを含んだ眼差しで
チラッと辰雄を見上げて家の中に駆け込んだ。

「ただいま」
明るい声で呼んだが何の応答もない。お父さん達、もう休んだのかしら。
「お母さん、お母さん」
家の中に志津子の声だけが反響して何の気配も感じられない。
「ホホ・・・、帰ってないんだわ・・・きっと藤山さんとこよ、
 あそこに寄ったら長くなるわ、泊まって来る事だって有るんですもの」

「お兄さん暑かったでしょう。汗を流しません事」
初々しく湯浴みの準備をする志津子に辰雄は新妻のような錯覚を起こして、
「あーそうするか」と湯殿に去った。

其の後へ客用の浴衣を持った志津子が続いたが、流石に混浴は仕切らず、
男女別の浴室で盆踊りの汚れと興奮を流した。

温泉で温めた身体に、南国特有の大きなやぶ蚊が飛んでくる。
湯上りの二人は二階のテラスで向かい合って涼んで居た。

踊りのゴミと共に洗い流した筈の興奮が二人の心に
埋火の様に残っていて息苦しい差し向かいである。

「叔父さん達、おそいなぁ」
辰雄の声は興奮の為にひからびてかすれている。
「久し振りにのんびりと、又飲んでるのでしょう」
志津子の答えも何となくぎごちない。
「あっ、痛い、この辺の蚊は大きいな、
 さあ、もう寝ようか、志津ちゃんもおやすみ」
この場の空気から逃れる為に辰雄は立ち上がった。

「ええ、ではおやすみなさい」
もう少し辰雄の傍で、たとえ言葉だけでも良い、
と未練を残して志津子が寂しそうに降りて行く。

 
ゆびさきの詩1-4
「アッアーア」
大きく屈伸した辰雄は蚊帳に入ってからスタンドの灯りを消した。
目を閉じると志津子の顔が優しく瞼に浮かび、
帰る際に抱いた志津子の肩の感触が胸に残って、
かぐわしい女の体臭が蘇って中々寝付かれない。

志津子は僕が求めたら、許すだろうか・・・
叔父さん達に知られたら何としょう・・・
思い切って志津子を抱こうか・・・
だがもし嫌われたらどうしょう・・・
と言う思いが走馬灯の様に駆け巡る。

女体に関する経験を豊富に持ち、その道を以って自認しながら、
余りにも純情で可憐な志津子に手の出なかったもどかしさで
辰雄は寝付かれず、「ウーッ」と大きな溜息を漏らした時、
トントントンと志津子が階段を駆け上がって来て、
「お兄様、こわいワ、誰か外に来ているのよ」
「気の迷いだろう、志津ちゃんは臆病だね、よし、僕が見て着てあげよう」

辰雄が気楽に降りて行き、戸を開けると、
暗闇の中に蠢くニ、三人の人影が有った。
「誰だ!そこに居るのは」
辰雄の大声で黒い影はあわてふためいて逃げ去った。
若衆達の夜這いだろう、と苦笑いをした。

辰雄が、戸締りをして部屋に戻ると、
灯りを消した闇の中に志津子が座っていた。

「志津ちゃん、そんなところに居ては蚊に刺されるよ
 蚊帳の中に入ったらどう・・・
 外に来てたのは、夜這い野郎がニ三匹さ、
 僕が追い払ったから心配無いよ」
志津子を蚊帳の中に誘って入れて、
「叔父さん達、今夜は帰って来ないかも知れないね
 もう彼是二時過ぎだろう」
平静を装っては居ても、辰雄の胸の中は、
寝付かれぬ程に発達した欲情が煮えたぎって居た。

灯りを消した部屋の中に、しかも一つ蚊帳の中で
志津子の体臭が香水の香りとミックスされて辰雄の
情炎に油を注ぐように迫ってきて、ムクムクと咽を突く
獣心を押えるのに程遠いムードに辰雄は理性が
ガタガタと崩れ去る音を聞いた。
興奮の渦が大きく渦巻いて、
何もかも飲みこんでしまう時期が到来した。
  1. 小説・指先の詩(うた)
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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