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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の八

◇性の行脚(Ⅰ)
指先の詩01
昭和39年、40年当時は「東京オリンピック」の開催を引き金に
日本は好景気に沸いていた。
霧島地方の主だった観光地にも大資本が導入されて、
軒並み改築工事が行われた。

すすけた木賃宿が堂々と旅館の看板を掲げる者が有ると思うと、
ちっちゃな商人宿が設備の行き届いたホテルに装いを新たにして、
名も無い湯の街がたくましい宣伝によって、一躍スターダムにのし上がって来た。

志津子の家では、母親の春子が、時代の波に置いてきぼりを喰って
日毎に衰退して行き、其れに加えて、お人良しの父親の保障被りで
益々行き詰まっていた。

幸か不幸か、南九州のの「林業王」と自他共に許す伊集院翁が、
近くに有る持ち山視察にこの村に来て居たのだった。

伊集院は好色と云う程の事も無いが、美しい物は総て自分の物に
したいと言う「独占欲」の強い老人で、訪れたこの村で志津子の
艶姿を見初めて、持ち前の独占欲が頭を持ち上げてきた。

今までの様に書画骨董の類であれば金に糸目をつけずに、
難なく入手出来るが、相手が人の子であるので、その訳にもゆかず、
志津子ゆえに伊集院は此の村で一番きたない旅館の客となった。
その経緯は志津子の母親、春子が若い頃「伊集院家」に行儀見習いとして、
伊集院の屋敷に奉公していたことが切っ掛けとなっていた。

伊集院と、どんな約束が出来たのか定かでは無いが、
伊集院は惜し気も無く、す寂れた旅館の改築に金をつぎ込んで、
日一日と大工事が進み一流の旅館に生まれ変わって行った。

落成披露を後数日後に控えた或る日、
志津子の姉、佐智子が実家に帰って来た。
佐智子には坂崎と言う恋人が居た。同じ福岡のデパートに勤める
サラリーマンで中々の好青年である。優しい坂崎は公私に渡り
佐智子の理解者で何時も佐智子を庇って呉れるのだ、
彼女は結婚の許しを得る為に勇んで帰って来たのだが、
家で彼女を待って居たのは辰雄との祝言の話だった。

 
未亡人雪代09
女にとって、一生の大事を娘の意志も確かめずに独善的に
事を運ぶ母を恨めしく思い、
「辰雄さんと志津ちゃんは好き合って居るんでしょう、
 私は嫌よ、福岡に帰るわ・・・」
今の佐智子には、せめてもの涙だけが抵抗の手段だった。
「此の家を長女のお前が継がずに、誰が継ぐのさ」
娘の涙ながらの訴えは退けられた。だが佐智子も直ぐには諦めない、
「志津ちゃんだって家の娘でしょう、辰雄さんと一緒にして、
 この旅館を継がせれば良いじゃない・・・」
「長女だからって、こんな田舎に閉じ込められるのは
 まっぴらよ」

優しい坂崎を思うに付け、佐智子の反発は必死である。
「志津子にはね、別口の縁談の話が有るんだよ、
 この度の改築の事だって、其の方の援助が無ければ、
 実現出来なかったんだよ、お前の婿を迎える為に
 改築して呉れた様なものさ」
「誰れ・・・志津ちゃんの候補者っての・・・」
自分の幸せのみ考えて居たが、志津子は自分よりも、
尚悲しい事を強いられて居る様に思えて、佐智子は膝を乗り出した。

「其れは、“林業王”と言われる伊集院さんだよ、
 歳は取って居るけど奥さんを亡くなされて居て、
 志津子を本妻さんに迎えて下さるのだよ、
 志津子だって幸せに成れるのだよ」

家が新築されたり、お金持ちだと人に羨まれる事が最大の幸福だと
割り切っているお春は、さも良いことをしたという様に誇らしげに胸を張っている。
鹿児島と言うところは封建制が強い、特に田舎では、親は子供に対して、
殺生与奪の権をもっていて家の為には娘の愛情等、物の数ではないのだ。

佐智子は無理矢理に妹の好いた男と知りつつ辰雄を婿として
迎える事を承知させられた。

一方の当事者で有る辰雄は
八幡の大手メーカーの技術者としての夢に掛けていた。
志津子の母、春子とは姉妹に成る辰雄の母、亜希子の因果を含めた
説得に志津子への思いを断ち切り生涯、鹿児島には帰らない積りで
居たのだが、佐智子からの手紙で志津子との意思とは関係なく
金満家の老人に嫁がされるハメに成った志津子の
身の上に同情の気持ちも芽生え、何度かの文通で佐智子の、
女らしさにも引かれて行く辰雄で有った。

何れは旅館の後を引き継ぐが、当分は福岡で暮らす事を条件に
佐智子との結婚を承諾したのだった。
  1. 小説・指先の詩(うた)
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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