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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

買い出しに来た都会の女。其の四

◇奥さんのお尻◇
買出しに来た都会の女10
いよいよ決行・・・。
私が先発して消防小屋の横に潜んだら歩き始めてくれ、そして終わったら、
そのまま一キロ程歩いて「十二社」(とにやしろ)という鎮守さんの森に着いたら、
その入口で待っていてくれと打ち合わせます。

私は川沿いに行くから、少々遅くなるけど、心配しないでねと念を押し、
頷き合いましたが、自然に握手してしまいました。大事を決行する同志の気分です。

草叢伝いに小屋のそばまで忍び寄り、身を潜めると手を上げて合図します。
奥様は俯き加減で静かに歩き出しました。打ち合せした通り男の気を惹く歩き方・・・
それも美人なだけに絵になってます。

私の前を通る時、チラッと視線を呉れました。やがて彼等の前を通過します。
退屈な張り番に参っていた二人、わけも無く美人を目で追います。
二言三言、二人で何か話し合っていますが、視線は彼女に釘付けです。
今飛び込んでも成功しそうですが、満を持して待ちます。

松の所へ来ました。立ち止り、細かく足踏みを始めました。腰をねじりながら足踏みし、
尿意が限界の芝居ですが、なかなか堂に入ったもので、迫力充分です。
彼等の一人が立ち上がって、覗き込むように身を乗り出します。
固唾を呑んでいるのが丸判りです。

「今だ!」
さっと小屋の中へ滑り込みました。色々の米袋が、50個ほど置いてあります。
咄嗟の事で、どれが奥様の米袋か見分けがつきません。
でも三升ほどの包みで、余り大きくなかった記憶があったので、
小さめの奴を探しますが、似たり寄ったりで区別がつきません。

下積みになっているのか・・・。でもグズグズしてはいられない。比較的小さく見えるのを
小脇に抱えると、また滑るように小屋の外へ身を翻して草叢へ飛び込みます。
その時チラッと視線を松の根元にやると、屈んでいる奥様の白い尻が目に映りました。

小屋の裏へ廻り、小川伝いに進みました。草だけじゃなしに、葦や笹や、
思いがけず薔薇にさえ遭遇しました。掻き分け踏み分け進みます。
 
買出しに来た都会の女11
音を立てず、身を伏せて、一気に三百メートルほど進み、
駅舎から充分離れた所で土手に上がりました。
抱えた米袋は体の正面で持ち、背を丸めてカムフラージュします。
やがて川が本道と大きく外れだしたので本道に戻りました。

その時に成って、やっと陽が沈んだのに気づきました。夕方と言うより、間もなく夜です。
薄闇を透かすと、前方に人影が見えます。輪郭が奥様らしいので、
大声で呼ぼうかと思いましたが、大事をとって距離を縮めます。
十二社が見えた時、その影も立ち止ったので、やっと奥様と確認出来ました。

小走りに駆け寄ると、物陰から出て来た奥様は、私の手にした包みを見て、
「あぁ良かったわ、良かったわ、取り返してくれましたのね、これで仇を討ったのね」
と言って米袋を撫で廻します。私の手の甲に彼女の細い指が触れますが、
そんな事に気遣う事無く夢中です。

「胸がスーッとしました。ざまぁみろぅ!の気分ですよ。
 これと言うのも、奥様が手助けしてくださったお陰です」
「私なんか、何の役にも・・・」
「あんな大胆な事を思い切って遣って下さったればこそです。
 奴等も、寝首掻かれても気付かぬ位に興奮したんじゃないですか」

首尾よく行った事に興奮していたので、夢中で喋りつづけましたが、その時ふと、
羞恥を取り戻した奥様は、「恥ずかしい」と呟いて、真赤になった顔を下に向けました。
「何が恥ずかしいもんですか。今の世の中、恥ずかしい事をしないと飢え死にするんだと、
 先生も言ってました。悲しい世の中だそうです。
 皆法を犯して闇で生きてるんです。法を犯すって恥ずべき行為なんですって・・・。
 それを守ったが為に餓死した裁判官がいたって話しもありました」

学校で担任がしてくれた山口判事の話を思い出して語りました。
奥様の羞恥を取り除く為に話してるんですが、逆効果のようで、
益々奥様は恥ずかしがります。そうなると、余計に焦る私です。

「僕一人では到底成功してないですよ。奥さんの協力あったればこそ成功したんです。
 僕もチラッと見たけど、あんな美しい肌は・・・生まれて初めてで・・・
 僕も盗人やめて、じっと見たかった位で・・・」
買出しに来た都会の女12
話が脱線して、あらぬ方に向いているのが少年なりに気付きましたが、
どう軌道修正すれば良いのやら・・・乏しい人生経験の私には見当が付きません。

下を向いて、恥ずかしがってばかりだった奥様が、不意に、
「アッ、このお米私のと違うわ、少し多いわ、五升ほどありそうだわ」
変な事に気付いたものです。それもこんな時に・・・。
あの急場で、到底探してられない理由を、どう説明しょうかと、考えあぐねていると、
「私恥ずかしかったけど・・・坊ちゃんも見たかったて聞いて嬉しいわ、
 本当に見たかったの・・・?」

またもや話の中心が変わります。発想の飛躍が早いのは、女性の通有性だなんて、
当時少年だった私には理解出来ない事柄だったので、着いて行けなくてアタフタします。
「それは、もう・・・。そりゃ見たいけど、すみません。僕まで助平に成って・・・」
「どうして見たかったの?」
自分の魅力にひれ伏した男を、弄って楽しみたい女性の、チョットした遊戯的残忍性
とでも申しましょうか。彼女にもそんな心理行動があったように思います。

「本当に見たかったの?・・・私の肌を」
「そりゃっ僕・・・あの・・・奥さん、美人だから、やっぱり美人のものなら見たいです」
「ブスなら、見ないの?」
「ハアッ美人の女(ひと)のしか、見たくないです。ブスのオソソなんか」
お世辞じゃなくて、心底そう思ってるんですがどうも舌が旨く廻りません。
これじゃ、まるで嘘言ってるみたいだと、口籠ってしまいます。

「私にこんなに尽くして下さって・・・その上、私の為に罪まで犯して下さったのだから・・・
 私だけ汚れずにいるなんて、申し訳ないわ」
「いいえ、かまわんです。僕は平気です。むしろ本望なんです」
「そんな事って・・・私、お礼がしたいの。
 ねぇ、お願い、貴方の見たいもの、見て頂戴。なんでも見せるから・・・
 見たいだけ、見て欲しいの。そしたら私も気が済むから・・・
 ネェ、見て呉れるわね。是非お礼を受け取ってえ」

最後はキッと頭を上げ、私を見据えて断言します。その迫力に思わず震えがきました。
  1. 忘れ得ぬ人
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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