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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

買い出しに来た都会の女。其の一

◇米どころ河内平野◇
買出しに来た都会の女01
あまり性能の良く無いラジオに耳を寄せて、
阪急対金星の職業野球を懸命に聞いていました。
まだプロ野球という呼称が浸透せず、
職業野球と戦前のままの言葉を使う人が多かった、
終戦後間もない頃の事です。

天保投手の快刀乱魔に、金星の坪内も長持も、キリキリ舞いさせられています。
でも最終回、失策と死球で二死二走者が出塁しました。
「或いは・・・?」と胸おどらせますが、そんな時に限って雑音が激しくなります。
「この安物ラジオが」と恨みがこみ上げ、其の度に父の言っていた、
「これはメーカーもんや・・・」と言う馬鹿の一つ覚えに腹が立ちます。
都会からの買出し人が持ち込んだFF電機のラジオだったのです。

河内平野に住んでいる我が家族は、中規模の農業を営んでいました。
終戦後一気に増えた買出し部隊ですが。
・・・其の頃には、金銭であがなう人よりも、物々交換が多かったものです。
新円切換えが、その傾向を更に激しくしていました。

雑音でイライラしている時に、中庭で来訪者の声がします。
女の声で「ごめん下さい」を繰り返しています。
・・・また買出人かな。しかし美しい女の声だ。
何か珍しい物だったら、親に内緒で私物にしてやろう、応対に出ました。

声相応の魅力のある中年婦人が立っていました。
中学4年生(旧制)の私から見れば、中年小母さんの感じでしたが、
三十路にやっと差し掛かった物静かな美人だったので・・・
思わず胸をドキドキさせていました。

「何かご用ですか・・・」
あがっているので、声がつい怒ったような調子になります。
「お留守かと思いましたが、ラジオが聞えてましたので・・・、
 つい、ひつこく、何回も声掛けまして・・・誠に申し訳ございません」

丁寧な挨拶は、純情?中学生には、チョツト苦手です。
でも美しい人だ。友人の母親や姉達の中にも、こんな美人はいない。
取引きしないうちから、気後れしていました。
 
買出しに来た都会の女02
「あの・・・お米を分けて頂きたいのですが・・・。お父さんか、お母さんは・・・」
「留守です。でも、お米ぐらいなら・・・僕にでも・・・」
「はあ・・・しかし私、お金でなくて品物を持参しましたので・・・」
「あァ、よろしいですよ。どんな物ですか、見せて下さいな」

いつも大阪弁の買出し人に馴れている私は、上品な標準語で話されると、
つい此方も河内弁が姿を消してしまいます。
「これでございますけれど・・・」

手にしていたスケッチブック大の風呂敷包みを解くと、
中から紙に包んだ色紙が数枚現れました。
そこには花や鳥が描かれています。
「母の作品で、自信作でございます。母は少々名の売れた画家でございまして・・・」
と雅号を口にしましたが、私にはとんと縁の無い名前。
其の上作品の価値が全く見当もつかない。米の交換品としては、余りにも異質過ぎます。

でも、なんとかお米を分けてあげたい。一体、いくらほど希望されるのか・・・
そんな事に思いを巡らしていると、口が滑って、ロクな返事が出来ません。
奥様の説明は、快い天国の調べとなって、耳を通り抜けていくだけで、
意味は一向に理解出来ないのです。そんな私の態度を脈無しと解釈されたのか、
「坊ちゃまには、むつかし過ぎたようですね。
 もう一度、ご両親の在宅の時にでも出直します。
 お忙しい時に、お手間をとらせまして・・・」

落胆の色を見せて、それでも語調は上品そのもので、
作品を風呂敷に包み礼儀正しく帰りの挨拶をしました。

奥様が去ってから、心にポッカリと穴が空いた感じになりました。
痛手と言うより、千円札を数枚落とした感じです。
こんな思いをする位なら、奥様の条件を即座に呑んで、歓ばせて上げれば良かった・・・
心はそのように動いていたのですが、もう少し美人と話していたい助平心が、
結果を不首尾にしたのです。

それにしても上品な人だった。我が在郷には、あんな奥様は一人もいない。
「お忙しい時に・・・お手間を取らせてまして・・・」
の最後の挨拶には参ったねぇ。お忙しい所か、コチトラ閑を持て余して、
職業野球を聞くか、マスを掻くかしか能が無いのに・・・。

逃した魚は大きく、心の空虚を埋めるべく、何時もの癖でマスを掻いてしまいました。
オナペットに何故か奥様が浮かびます。もちろんオソソを想像する術など無いのですが、
あの美しい・・・そして淋しそうな笑顔を思い浮かべるだけで、直ぐにドバッと飛びました。
買出しに来た都会の女03
それから二時間ばかり無為に過ごし、約束の時間が来たので出掛けました。
大阪で級友と会うことに成っていたのです。

プラットホームに立って・・・驚きました。また先刻の奥様が立ていたのです。先程とは
打って変わって晴れ晴れとした表情。化粧直しをされたかして一段と美しく見えます。
歩いて汗ばんだのか、その上気した顔が一層魅力を増しています。

笑顔で挨拶をしてくれます。途端にカッーと赤面します。
無断でオナペットに使用したのがバレた思いでした。
でも、お米を入手されて、ご機嫌なのを見ると、こっちも安心した気分になりました。
お米らしき小さな包み。しかし其の包みたるや、素人まるだしです。
外見から米で有るのがバッチリ判ります。米独特の曲線の膨らみを隠していないのです。

もっと角張った感じを出して偽装しなくては、なんて老婆心を起こしますが、
少量だから大丈夫だろうと、思ったりもします。

奥様の語り掛けに頷いているうちに、
次第に心が落ち着いてまともに会話が出来る様に成りました。
その時、とんでもない無い事に気づいて愕然としました。

奥様は先程の交換品らしき色紙の包みを其の儘持っていられるのです。
「まさか・・・」あらぬ想像が一瞬心に浮かび「奥様に限って・・・」と慌てて打ち消します。

お金を持っていないから物々交換に来られた筈です。
その交換品が残っているのに米だけ入手されている。是はひょっとすると・・・。
最近噂に聞いている米とオメコの交換の話・・・。
切羽詰まった婦人に持ちかけると、案外成功するという肉体取引きの話かもしれない。

(美人ほど成功する確率は高い。恐らく彼女等は、
 己の美貌に自信を持っているから、最初からその予定なんだろう)
と、この取引の常習者、角やんや弥三郎さんが下品に自慢してたのを思い出しました。

そんな筈は無い。奥様が河内の田吾作にオメコさす筈がない。
色紙は数枚あったから、どうしても大切な一枚を残されたので、
それを持ち帰られる包みに違い無い。そんな事を思って打ち消すのですが、
心は淫らな想像に走って、いつの間にか私のチンポはピンピンに勃起していました。

  1. 忘れ得ぬ人
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アヤメ草

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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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