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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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小説・秋の夜話。其の九

秋の夜長8-7
漸く我が家へ辿り着いた増蔵は、忍び足で戸際に近づき、杖の先でコトコトコトコトと
縁の下の羽目板を叩いた。それで夫だと言う事が分かるのである。
部屋の中には、電灯に被いを掛けて、甚太郎と礼子が一つ床で寝て居た。
「コトコト音がするじゃねえか」
甚太郎は耳敏く聞き咎めた。風の音にも心を配る間男の早耳であろう。
礼子も、聞き耳を立てて、じっと考えて居たが、
「ああ、アンゴラよ。宵に餌を遣らなかったからお腹すかして騒いで居るのでしよう。
 いつも縁側に入れて置くのですが、今日は外に出してあるから、兎も淋しいんでしよぅ」
と言った。

「煩いな。気になって仕様がねえ」
「じやぁ、餌をやって来ましょうかね」
恰も良き折を見出して、礼子はむくむくと起き出した。
寝巻きの帯を結び直し、半纏を引掛け、走りよって障子を開け、
それを閉め、ぴたりと廊下の雨戸にとつついた。

コトコトコトコトと音がする。ああ、夫だ。どうしようと思った。
不時の帰宅の場合も、かねて示し合わせて在る事ゆえ、戸を開けるのは何の造作も無いが、
鉄よりも重い良心の雨戸。それを開けて、どの顔を夫に会わされよう。

コトコトコトコトと音がする。夫の杖の先が、心臓に当たり、乳房に触れ、
次第に下腹へと下がって、骨の髄の辺りを突く様な気がする。其れまではその存在を
意識した事も無いような、微かな胸の先へもそれが触れ、思わず前を押さえた。
もう其処は夫以外の精を受け入れ飲み干して汚れて居るのだった。

戸袋に近い雨戸の一枚を開けると、身体を外に出して、手早く閉め、
足で探って草履をつつかけながら、礼子は栢の立木の陰まで這い寄った。
其処に増蔵が、しょんぼりと立って居るのだった。

増蔵が、礼子を抱き抱える様にすると、礼子は、その顔を押し付けて来た。
白粉を塗って居ると見えて、その匂いがプーンと香った。
増蔵は言うべき言葉を知らなかった。胸は早鐘を突いた様であった。

「礼子。俺は腹が痛くなって急遽帰って来たんだ」
「まあ」
「下っ腹が痛むんだよ」
礼子はその辺りへ着衣の上からそっと手を当てた。
「困ったわね。村にはお医者は居ないし・・・」
「もっと強く抑えて見てくれ」
 
秋の夜長3-3
礼子の手が触れて来たので、増蔵は着衣の胸を掻き肌蹴た。
「礼子。あの男は・・・」
増蔵はやはり言うべき言葉を知らなかった。その言おうとする事より先に、
かつて甚太郎と礼子の、二人の浴衣姿を眺めた時に引き起こした同じ様な状態が先行し、
心気は愚かそのまま絶息にまで行ってしまいそうな気がしたからである。
しかし、礼子の方が黙って居られず、先に口走った。

「御免なさい。来て居るのよ・・・お前さんが泊まると言いなすったから、あの人を呼んだの」
「うん。そりゃ良いんだ。そりゃ良いけど・・・」
増蔵は喘ぎ喘ぎ言った。
「又母屋に知れると大騒ぎだ」
「もう直ぐ帰るのよ。大丈夫だわ」
「そうか。それなら良いが・・・礼子。もっと抑えて見て呉れ」
「お腹、どうなの・・・痛いのはどの辺・・・盲腸じゃないかしら」
「うん、其の上だ」
「この上は心臓よ」
「脇の下の横っちょから、手を入れて見な」
「アラ。お前さんの心臓。早鐘を打ってる様にドキドキしているじゃないの」
礼子は思わず驚異の声を発した。同時に何時もの礼子とは違う、
男を知ったすさんだ態度も見えるのだった。

「アラ、アラ、よくあたしに触らせて見せなさいよ。
 心臓随分ドキドキしてるわねぇ。いやだわ男はマラが如何にかなると、
 胸の動悸まで大きくなるのかしら。あんたのマラも触らせて見せて」
礼子は夢中だった。甚太郎と同じ様な手ごたえが感じられ、女もこんなにも
積極的に成れるものとは、夢にも思わなかったのである。

「急にこんなに成ったんだ・・・そんなに酷いのか」
「ええ、強いわよ。これでもう一寸強くなれば、女を孕ませる事が出来そうよ」
「本当かな。俺には孕ませる力は無いと思ってたが・・・
 お前の方では・・・でき・・・」
と言い掛けたが、又声が喉に詰まって、その言葉も出兼ねるようであった。

「遅くなって来たものだから、今しがたやっと、やすんだのよ」
「うん。それで・・・やすんだだけか」
「いやな人」
礼子は急に増蔵の手を取り、胸を肌蹴さっと押し付けながら、
「お前さんのマラが気分やなんかで、こんなに立派に成るんだったら・・・
 あたしは他所の男なんかに抱かれはしなかったのよ」
と、言って、溜息をついた。
和服ヌード024
「唯抱かれただけなのか。なあ、礼子」
「そんな事いえないってば・・・あたしは隠れて遣ってる訳じゃないのよ。
 どちらかと言えば、お前さんが勧めた事じゃない。そこらの事は阿吽の呼吸で
 察するものよ」
「ああ、このドキドキがそうか、俺にはよく判らないが・・・そうだったのか」
「うん。胸の底まで響いて的に真っ直ぐ狙う様なもんだから、多分、子が・・・」
礼子は又溜息をついて言った。

「孕んだらことだ・・・実わな。礼子・・・」
増蔵は何か言いたげに二口三口、口をついた。
夫の思案がどうやら変わったらしい事を悟って、礼子は悲しいよりも恨めしかった。
夫婦合意の上でも、企てが企てだけに、夫が思案を変えれば、礼子は全く立場が
ない事になるのだった。

「今更奴に帰れとは言わないが、ともかくも俺は、縁側にでも入って寝るとしょう・・・」
と増蔵は言った。
「そんな所に寝られちゃ困るわよ」
と礼子は言ったが、夫は耳にも入れず、
「アンゴラの檻を家の中へ入れろよ。それと一緒に俺はこっそり縁側に入り込むから・・・
 番人をするんじゃないよ。礼子・・・」

礼子は仕方なくアンゴラの檻を雨戸の隙間に持ち上げて、更に広く雨戸を押し開けるのだった。
その隙に増蔵は縁側に這い上がった。
其の時、部屋の中から甚太郎の声がした。
「アンゴラを中へ入れるのか。手伝うべえか」
礼子は、ギョッとしたが
「いいの。雨が降りそうだから、檻を中へ入れて置きます。
 あたし一人で持てるから、大丈夫・・・」

わざとガタガタ音を立てながら、縁側の上に檻を引っ張り上げ、席その他の雑物を入れる
ような気配を装いつつ、礼子は檻の蔭に夫を追い込んだ。そして手早く半纏を脱いで、
夫に手渡すと、雨戸をぴたりと閉めた。

手伝うべえとは言ったが、もとより縦のものを横にもしない物臭さの男だから、
甚太郎は起きだして来る筈も無かった。
さっきから床の中に仰向いて、煙草をふかして居るだけである。
礼子は半纏を夫に渡したことを気付かれぬ為に、わざと寝巻きを脱ぎ、
襦袢と下着だけの、仇っぽい姿になった。
偶然にもこの様な打ち解けた格好を見せられたので、一服してそろそろ帰る積りで居た
甚太郎の尻を、再び落着かせる事になったのは是非もない」

「まあ、こっちへ入んねえ。寒かんべえ。その恰好じゃ」
礼子は渋々甚太郎の傍にもぐり込んだ。
  1. 疎開先の思い出
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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