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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

田舎から来た娘。其の一

~田舎娘~
01.jpg
母の故郷、福島県の相馬から遠い親戚の娘である十二歳の今井君恵が
始めて我が家にやって来たのは、昭和二十九年七月末のある日、
中学校の夏休みが始まって間もない頃だった。

「訳があってね、田舎の娘を八月一杯預かる事に成ったから、
 年の近いお前が仲良くしてあげるんだよ・・・」
故郷に彼女を迎えに出かけたときの、母の言葉である。

大人の訳などどうでも良いが、姉妹がいない当時十四歳の私には、
(どんな娘なんだろう、可愛いと良いけどな・・・)
初対面の少女の容姿にだけは興味があった。

その日、私は朝からそわそわしていた。
十歳も年の離れた会社員の兄が、
「お前、いやにご機嫌だな、嫁さん迎える花婿みたいだぞ・・・」
と、私をからかうほどだった。

図星に近い心境を言い当てられて、顔から火が出た私は、
其の時公務員の父と一緒に玄関から出て行く兄の背中に向けて、
「田舎もんなんか嫁にしねぇや!」と怒鳴ったのだが、
その「嫁さん」の一言に思春期真っ盛りの心を刺激されてしまった。

私は玄関に鍵を掛けて、二階の兄の部屋に忍び込んだ。
兄が大学生時代に使い、高校生になれば私の物になる机の引き出し、
一番下を開けて、重ねて収めてあるノート類をその状態のまま取り出した。
その下に二冊のエロ雑誌が隠されているのを、半年ほど前から私は知っていた。

それは、大人の雑誌『デカメロン』と『夫婦生活』だった。


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田舎から来た娘。其の二

~夏の午後の惑乱~
04.jpg
その夜は、久し振りの御馳走だった。
すき焼き鍋に寿司。だが、私の好物のマグロの寿司はない。

この年の三月、ビキニ環礁のアメリカの水爆実験で、
沼津の「第五福竜丸」が被災した事件があり、放射能汚染が喧伝されたマグロは
我が家も他家同様、敬遠していたのである。

ともあれ、方言を恥じるのか、君恵は無口でおとなしく、遠慮を知る少女だった。
一回りも年が離れた兄は、そんな君恵をすぐ気に入ったようだ。
「俺の妹と思って、司郎が意地悪したら、言い付けろよ!」
父と晩酌を酌み交わしながら、そんな事を言う。

兄の妹なら私にも妹だろう。私はカチンときた。
「へえ、じゃあ君恵は、兄ちゃん専用の妹になれよ!」
憎まれ口を叩いたら、兄の口より早く、母の口が飛んできた。
「そったらバカなことを言うと、おめえのベコ(牛)マンマは取り上げっからな!」

正確で無いがそんな意味の、紛れも無い東北の方言を母は使った。
君恵が声を上げて笑い、皆も笑う。それで茶の間の団欒はさらに打ち解けた。

其の夜から、君恵は我が家の娘同然に、私達と暮らす様に成ったのである。
君恵は兄を『大(おお)兄ちゃん』私を『小(ちい)兄ちゃん』と呼んで、
夏休みで常に家にいる私の方により懐き、朝昼晩、私に纏わり着く様に成ったのである。

これは良い。少女に慕われて悪い気分はしない。
だが大人の父や兄には娘か妹と思えても、自慰を覚えた思春期の私には、
君恵は赤の他人の異性だった。


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田舎から来た娘。其の三

~少女の四年後~
07.jpg
その年に売春防止法が施行され、赤線の灯は消えた。
私は童貞のまま、T工業大学に入学した。
父と同じ公務員になる気は全くなく、技術屋になりたかった。

真面目さを要求される勤めは、私は全然向いていない男なのだ。
前年結婚して家を出た兄も常日頃から、
「お前はどう見ても職人向きだ」と断言していたほどの、
機械いじりが好きで、鉄道模型やラジオ作りに熱中していた。

六日の日曜日だった。
雨模様の早朝から、玉川に趣味の釣りに出掛けた父の留守を良いことに、
私は朝寝坊して茶の間で遅い朝食を食べていた。

片手に読む朝刊は、
前日五日に後楽園球場に鳴り物入りで初デビューした長嶋茂雄が。
国鉄の怪腕投手金田正一に四連続三振を喫したと報じている。
巨人ファンの私には、あまり面白くない新聞だった。

そのとき、玄関のガラス戸が開く音が聞こえた。訪なう声は女だった。
台所に居た母が玄関に向かい、
「あらいやだ、どうしたのいったい・・・!」驚きの声をあげた。
とたんに女の泣き声が響き、私も何事かと、玄関に出た。
セーラー服を着た少女が母の胸にすがって泣きじゃくっている。
たたきには大きなボストンバックが置いてある。とっさには誰か判らなかった。
「君恵、とにかく、とにかくあがんなさい、そんなに濡れちゃって・・・」
その言葉で君恵と初めて気付いたのだ。


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田舎から来た娘。其の四

~女体の味~
10.jpg
二日後、母が帰ってきた。
父と何事か相談した後、翌日の夜に兄夫婦も家に呼び、家族会議になった。
「君恵を世田谷の高校に転校させて、卒業するまで家に同居させるから、
 お前達も宜しく頼むよ」
父の発言だけで終わる家族会議だった。
「なんだ、鶴の一声かよ」

兄が笑い、義姉さんも笑った。私もその決定が嬉しかった。泣きじゃくるのは、
君恵一人で、そのすすり泣きが妙に我が家をほのぼのとした雰囲気にしてくれた。

田舎での詳細は判らない。だが、母も父も君恵の義母に対して怒っていた。
それがこの結果だとは想像出来た。

君恵には階段横の四畳半が与えられ、
父が君恵の新しい机を三軒茶屋で買ってきた。
母も自分の衣服を整理して空きタンスを作ったり、
義姉も若い頃の服を持ち込んだり、
私を一人蚊帳の外にして、何だかんだと我が一族は嬉しそうだった。

四月の末から、君恵は世田谷の某高校の二年生として通い始めた。
地方からの同年級の転校には色々と問題があったようだが、
役所勤めの父の地位と信用がものを言ったのだろう。

これで今度は二年間、再び君恵は我が家に同居する事に成ったのである。
だが、もう彼女は幼い子供ではない。
前同様に、私を『ちい兄ちゃん』と呼ぶ君枝だが、
私達は距離を置いて暮らしていた。

それを意識させたのは母だった。君恵の部屋をドア扉に変えて、
鍵を取り付けたのである。二階の兄の部屋を使う私が、
常に横の階段を昇り降りするからだった。

「司朗、君恵はお前の妹なんだからね、間違いを犯したら承知しないよ!」
私は母に、そんなクギまで深々と刺されていた。


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田舎から来た娘。其の五

~嵐の夜の出来事~
13.jpg
明け方、風雨はさらに強くなった。
後に知ったのだが、台風は江ノ島付近に上陸して関東地方を横断したのだ。
静岡県では狩野川が決壊し、東京近郊でも土砂崩れ被害を続発させ、
死者行方不明者千二百人余もの災害をもたらした台風だったのである。

一階に寝ていても、家が吹き飛びそうに揺れているのが判る。
外で何かが壊れる音がしたり、何かが倒れる激しい音が継続し、
とてもじゃないが眠るどころではない。

大学生である男の私でも恐怖を感じる風雨だったから、
まだ女子高校生の君恵が怖がるのは当然と言えば当然だ。

何処かでガラスの割れる音がけたたましく響いた時、
怖い!と小さな悲鳴を漏らした君恵が私の布団の中に転がり込んできた。

大丈夫だよ、と君恵を抱き締めてやったのだが、私も君恵も寝間着は浴衣だった。
寝姿を変えた拍子に裾がはだけ、脚の素肌が触れ合い、
抱いた腕の下で弾む彼女の肉体の温かさ柔らかさが、モロに伝わる。

まずい、と思った瞬間、いきなり私のペニスは勃起してしまった。

その私の股間に、幼児のように身を丸めた君恵の太腿が押し入ってくる。
裸の太腿だった。スベスベとして、肉が充満した燃えるように熱い肌だ。
私はその太腿を股で挟んだ。胸に埋まる君恵の頭を強く抱き締めた。

閉じた瞼の裏に、四年前に覗き見た幼い君恵の性器の形が浮かんでくる。
パンツの中で硬直しているペニスは、その彼女の性器に間近い、
熱い太腿に押し付けられている。頭の中が真っ白になった。

そのとき、君恵の顔が胸から離れた。私は闇の中で眼を開いた。
白さがやっと判る君恵の顔が私を見つめている。
見つめている・・・そう、なぜか私は真っ暗闇の中で、
君恵の眼に光る妖しい潤みを認めていたのである。


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田舎から来た娘。其の六

~二人のクリスマス~
16.jpg
耳に外の暴風雨の音が蘇る。だが、もう君恵はそれを怖がってはいなかった。
落ち着いた動作で、多分処女の鮮血に染められたズロースを丸めて枕元に置き、
布団に身を戻して私の胸に顔を埋めた。

「ちい兄ちゃん、好きだけど、結婚出来なくてもいいよ・・・」
嗚咽のように喉が鳴る。
「あたしが誘ったんだから・・・」
私は君恵を強く抱き締めた。仰け反り返る白い顔に、狂おしいキスの嵐を浴びせる。
背中に回った君恵の手にも力がこもる。

また暴風雨の音が消えて、私と君恵のフイゴのような熱い喘ぎだけが室内を支配し、
愛しさから生まれた欲望の再熱に、私のペニスは鋭く勃起していた。

君恵は性格逞しい娘だった。
翌朝、私が寝覚めた時には彼女はすでに釜の飯を炊き、味噌汁も作り、
きちんとセーラー服を着て登校の用意もしていた。
毅然とした君恵の姿に煽られて、私は性的関係になった甘さも表せない。
そして彼女のその超然とした態度は、夕刻帰宅した両親の前でも、全く崩れなかった。

その後も君恵は、私とふだん通りの接し方をして、
私に性的衝動を起こさせるような隙は見せなかった。
同じ家に住み、肉体関係が生じた若い男女としては信じられないことだが、
私と君恵のセックスは互いが初体験の、その台風の夜の一回だけだったのである。

昭和三十五年三月、無事高校を卒業した君恵は、兄の世話で東京の企業に就職
する事に成った。その企業には女子独身寮もあり、家も出る事になった。

社会人になった君恵は、我が家を実家の様にして、
事ある毎に土産品を持参して訪れてきた。父も母もそんな君恵を、
本当の我が子の様に可愛がっていたが、私の心境は複雑だった。


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生まれ変わっても結婚したい。其の一

~おさげ髪の少女~
林檎姫1-1
今年も、もうじき妻の命日が遣ってくる、来年は千鶴の七回忌だ。
あの日も風一つ無い穏やかな日だった。メモリアルホールの煙突から
仄かな煙が青空に向かって、一筋の糸を引きながら荘厳に立ち昇っていた。
(ああ、千鶴の魂が天に召されていく)
私は中庭の青々とした芝生に腰を下ろし、
ハーモニ カで千鶴の大好きだったメロディーを吹き始めた。

初めて千鶴と出会ったのは今から47年前も昔の事だった。
其の日も今日のような暖かな日だった。当時、高校を卒業したばかりの私は、
親父の跡を継いで大衆食堂の修業を遣っていた。店は東京の下町にあった。
間口二間ほどで、十人も客が入れば満員に成ってしまう程の
小さな店だった。小島という職人と母、そして私の三人で店を切り盛りしていた。

親父は生来、病弱だった。私が幼い頃から、少し無理をして厨房に入っては倒れ、
入退院を何度となく繰り返していた。
「今度、入院するような事があれば、再び生きて家に戻れないだろう。
 大事にするように・・・」と、医者から宣告されていた。

私がそれほど好きでもない大衆食堂の店を継ぐ心算に成ったのは、
少なくとも親父が生きている間に安心させてやろうと、思ったからだ。

「あのォ、ここで働かせて貰えませんか?」
出前から戻ったばかりの私に、店に入って来た少女は唐突に切り出した。
見たところ、まだ十五、六歳だろうか。おさげ髪の女の子で頬はりんごの様に赤く、
いかにも田舎者臭い感じだった。そして小柄な体に、大きなバッグを重そうに抱えてた。
典型的な家出娘の姿だった。

「生憎だったね。うちはご覧の通り小さな店で、客も少なくて、
 新たに店員を雇うほどの 余裕はないんだ。
 悪いけど他の店を当たって呉れないかな」
にべも無く私は話を断わった。すると傍らで聞いていた母が、
「ちょつとお待ちょ。情のない子だねぇ。
 話ぐらい聞いてあげたらいいじゃないか」と言った。

母は病弱な親父に代わって、店の全権を握っている。
苦労人だから、人の話を聞く耳をもっている。その言葉の裏には、
「雇ってあげたら」という、響きが含まれてもいた。


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生まれ変わっても結婚したい。其のニ

~風俗通い~
林檎姫2-1
其の頃の私は赤線の灯が消えたのを嘆きながら、、其の後に増えてきた
“トルコ風呂”通いに血道を上げていた。

当時のトルコ風呂は私の家から五、六キロ離れた埼玉県に入った国道沿いに
雨後の筍の様に林立していた。「本番は無し」が建て前で「抜く」だけだったが、
何回か通って馴染みになれば「本番」も遣らせてくれた。勿論金次第で初めて
でも本番は遣らせて呉れては居た様だが?

店の休みの前・・・と言っても、月に一、二度しかないのだが、千擦りは控えて、
精嚢を満杯にして出掛けるのである。
閉店と同時に銭湯に行ってひと汗流した後、店のオート三輪を無断で持ち出し
トルコ街に乗り込む。駐車違反でも酒酔い運転でも、警官が大目に見てくれた
いい時代だった。
路上に車を勝手に駐車させて、『ぬけられます』と看板に書いてある路地に入ると、
両側に赤い灯、青い灯の提灯に彩られた酒場やカフェが並び詰め込まれている。

一歩踏み込むと小便臭い。反吐の混じった酒の臭い、
性臭が渾然となって沈殿していて、それが甘酸っぱくて切ないほど鼻をつく。
人が生きている証ともとれる匂いだった。

「若旦那、いい子がいるよ」
ヤリ手婆ァが、媚びた笑顔で袖を引く。それをサラリと冷やかしておいて、
馴染みの女のいる店へと足を運ぶ。

当時のトルコ風呂は、元遊郭だったり売春宿がトルコ風呂と衣替えした様な店が
多く女のコスチュームは長襦袢という和風の店が多かった。
そこで働いている女達は、貧しくて、生きる為に体を売っている者が殆どだ。
少なくとも現代の様に、遊ぶ金や、高級なブランド品を買う為に、体を売る女は
皆無だったろう。

紺染めの暖簾をくぐる。
「おや、若旦那いらっしゃい」
揉み手をしながら、ヤリ手婆ァが前歯の欠けた口を開けて言う。
現役を退いてもなお、ここから抜け出せずに、ヤリ手婆ァとして残っているのだ。


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生まれ変わっても結婚したい。其の三

~千鶴がお嫁に成って呉れたら~
林檎姫3-1
給金が出た直後は、床を連れ込み宿に移して、泊り込む事もあった。
そんな朝は、本当に太陽が黄色く見えて、腰は鉛でも詰めたように重くなる。
そして一日中ボッーと腑抜けてしまうから、家人たちにもトルコ通いのご乱行が、
簡単にバレてしまう。

「兄ちゃん、いやらしいわよ」
妹の加代が軽蔑しきった目をして言う。
「何がいやらしいもんか。健全な肉体には、健全な欲望が起こる。
 なァ、そうだよな小島さん」
朝の挨拶に来た小島に助け船を求める。
「何のことです?ボン」
「兄ちゃんたら、またイヤらしい所に行って朝帰りなのよ。小島さん何とか言って上げて!」
「ああ、そのことですか。若いんですから、加代ちゃん、大目に見てあげたらいい。
 あんな所、いずれ行かなく成りますよ」
「そうだよね、男には通過点なんだよね、どうせなら思い切り遊ばなけりゃ、損だ」
「もう、小島さんに言うんじゃなかった。千鶴さんが可哀相・・・」
加代は思いっきり膨れ面をして、家の奥に引っ込んでしまった。

「加代のやつ・・・何を言ってるんだろうね」
「そのうち判りますよ。ボンは気付いてないでしょうが・・・
 トルコ通いは卒業した方が良いと思いますよ」
「どうしてさ」
「どうして?鈍いんですね。千鶴はボンに首ったけで、
 周りで見ているこっちの方が辛くなりますよ」
「千鶴が・・・?」
「気がつきませんか?この前も、女将さんと千鶴とボンが一緒に成ってくれたら、
 どんなにいいかと話してたばかりなんですよ。
 まぁ、こればかりは・・・本人たちの問題ですからね。
 じゃ、あっしは店に入りますんで」
小島は言い終えて、踝を返した。

千鶴が私に想いを寄せている。是まで考えた事もなかった。その頃の千鶴はすっかり
家族の中に溶け込んでいて、私にしても妹が一人増えたという感じでしかなかったのだ。


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生まれ変わっても結婚したい。其の四

~千鶴を僕のお嫁さんに下さい~
林檎姫4-1
バスを降りて、千鶴と私はすぐに診療所に駆けつけた。千鶴の父親は思ったより症状が
軽いものだった。一過性の狭心症で、一週間ほどで退院できるという。突然倒れて
苦しみ出したために、慌てた家族が万が一の事を考えて、電報を打ったのだという。

ベッドに上半身を起こした千鶴の父親は、頭頂部まで禿げ上がり、顔は千鶴と
一卵性双生児のようによく似ていた。苦労人の良さが滲み出ていた。

最初は私が千鶴と一緒に行った事で、千鶴の父親は随分と驚いたようだ。
しかし、千鶴は私の事を手紙に書いて、頻繁に知らせていたそうで、すぐに頭を
布団に擦り付けるようにして感謝の意を表した。恐縮の限りこの上も無い。
そればかりか、人の良さそうな人柄を前にして、会うまでの緊張が緩んだのか、
「千鶴さんを・・・ボクのお嫁さんに下さい」
と、自分でも呆然とするほど、あっさりと言ってしまったのだ。

父親も千鶴も、一瞬、何が起きたのか理解出来なかったようだ。
千鶴の父親はポカンと口を開け、千鶴は大きな目玉をキョトンとさせていた。
「千鶴さんを必ず幸せにしますから・・・ボクに下さい」

千鶴の顔がみるみるうちに紅潮した。恥ずかしそうに背中を向けた。
その肩が、こみ上げる感情を抑え切れず、小刻みに震えていた。
それを見た千鶴の父親は、やがて朴訥に話し始めた。

「この子には教育らしいものは、何もさせてあげられませんでした。
 子供の頃から兄弟たちの母親代わりをさせ、
 東京に行ってからも仕送りを欠かさず送ってくれて・・・
 これも私が不甲斐ないばかりに申し訳のない事をしてしまった。
 吉岡さん、千鶴は本当にいい子です。
 どうか、どうか幸せにしてあげてやって下さい」
千鶴の父親のくちゃくちゃになった顔がボヤけて見え、私は只何度も何度も頷いていた。

一時間ほどで診療所を私達は出た。
郵便局を西に折れて、青々と稲の伸びた田圃の中の道を行く、
行く先に小高い山があり、一塊の集落が裾野に広がっている。
赤や黄色の旗が風に翻る神社から、北に五軒目の杉林に囲まれた家が、
千鶴の生まれ育った家だと言う。家はやたらと大きくて、
東京では既に見られなくなった茅葺屋根の農家だった。


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生まれ変わっても結婚したい。其の五

~処女の呻き声~
林檎姫5-1
私はパンツ一つで布団に入った。布団は藁布団だ。夏は涼しく、冬は暖かいという。
藁の匂いは気持ちを落ち着ける。もっとも、その時の私は平常心でいられる訳がない。
周りの静けさが、無性に欲望を募らせた。

遠慮がちに障子を開けて、千鶴が部屋に入って来た。外からの微風が、蚊帳を揺らす。
千鶴は蚊帳の前に屈んだ。暫くの間、じっとしていたが中に入る決心が付かないらしい。
部屋の明かりは消えていた。目を閉じていても、千鶴の心の動きは手に取るように判った。

「千鶴・・・・おいで、そんなところに居ては蚊に刺されるよ」
声が喉にからみついた。平静を装っては居ても、私の胸の中は、
寝付かれぬ程に発達した欲情が煮えたぎって居た。

やがて千鶴は蚊帳の中に入って来た。そして絹ずれの音をさせながら、
何かを脱いだ後、隣りの布団に入り横たわった。

息苦しいほどの緊張が、私と千鶴の間に流れた。じっとしていても、血は沸騰し、
汗がプツプツと噴出した。手を千鶴の方に伸ばした。布団の隙間に手を入れると、
千鶴は躊躇しながら握り返してきた。小さな温かな手をしていた。
「もっと近くに・・・」千鶴は私の手を握ったまま、体をずらしてにじり寄ってきた。

灯りを消した部屋の中に、しかも一つ蚊帳の中で千鶴の体臭が石鹸の香りと合わさって
私の情炎に油を注ぐように迫ってきて、ムクムクと咽を突く獣心を押えるのに程遠い
ムードに私の理性がガタガタと崩れ去る音を聞いた。
興奮の渦が大きく渦巻いて、何もかも飲みこんでしまう時期が到来した。

「必ず幸せにしてあげる」千鶴の体を抱き寄せた。
千鶴は浴衣を着たまま、体を石の様に固くして、緊張でブルブル震えていた。
痛々しいほど、細く、小さな体だった。

障子越しに月明かりが、仄かに忍び込んでいた。
潤んだ大きな瞳は淡い光を湛えている。吸い寄せられるように、顔を近づけていくと、
千鶴は目蓋を閉じた。その目蓋にソッと唇を重ねた。

「あっ・・・!」
千鶴は驚いたのか、小さな呻き声を出して、力一杯しがみ付くと、私の胸に顔を埋めた。
「何も心配しないで」
私は不安と固さを解かすために、背中を撫で続けた。次第に千鶴の体は熱くなり、
腕のなかで微かに揺れながら、ゆったりと息づき始めた。


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湖底に消えた初恋の思い出。其の一

~湖底に沈んだ故郷~
湖底に1-1
結婚を翌月に控えた娘と、何年ぶりかで故郷の土を踏んだ。
青春映画の一コマのようで誠に微笑ましいシーンなのだが、
微笑ましいとばかりは言えない悲しい思い出が其処にはあった。
少年時代に楽しい日々を送っていた故郷も、
家も友達もみ~んな湖底に沈んでしまった、という事実である。

娘の名前は純子と言って、既に亡くなった妻の絵津子に生き写しだ。
「ここが、お父さんの生まれた所なの?母さんが生きていたら、一緒に来れたのに・・・
 ねえ、お父さん、お母さんは此処に来た事があるの?」
「母さんとは東京で知り合ったから、母さんはここには一度も・・・
 お父さんは仕事で全国を飛び歩いていたから、此処には時たま来ていたよ。
 純子、見てごらん」

私は眼下に広がるダム湖を指差した。
私の生まれた所は、そのダム湖の中にあって四十年以上もの間、
静かに眠り続けている。湖面は山から吹き下ろす風でざわめいて、
空の青と木々の緑を映していた。
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湖底に消えた初恋の思い出。其のニ

~何もかも遠くへ~
湖底に2-1
村にダム建設の話が持ち上がったのは、私が小学六年生の時。
大人たちは、全員が反対運動を起こした。

村から出て、町で生活する事など考えられない、村で生まれ育った人達ばかりだ。
今更町に出てサラリーマンになれる訳でもなし、其れは死ねと言うに等しいものだった。
そして何より、ダムが出来れば山が死ぬし、山が育てた川も海も死ぬ。

県の方では私達の住む村は、ダム造りには絶交の地形だとして、
代替地を用意して保証金も充分に出すと、住民説得に当った。
すると、反対していた中から、一軒二軒と脱落する家が出てきて、最後には肉親の様に
親しかった村人達が、賛成派と反対派の二手に別れて、憎悪を込めた闘争となった。

当然のように、子供たちもその中に巻き込まれていく。親しかった友だちとも、
親からあの家の子は反対派だから口を利いちゃならないと、親の悪口を言い並べる。
と、自然に子供達も、互いに話しをする事も無くなっていった。

私の父はダム建設に途中から賛成派に回った。
山の暮らしは厳しく、保証金を貰って何でも有る町に行けば、
少しは楽が出来るかも知れないと思ったようだ。
一方、祖父は山に生まれたことを、足が悪くなってからも誇りにしていた。
しかし、働けなくなって父に面倒を掛けて居る事が負い目に感じているのか、
多くは語らなかった。
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湖底に消えた初恋の思い出。其の三

~乙女の願い事~
湖底に3-1
誠子と私は一年前から、密かに交際していた。
私が中学二年生で、誠子は町の高校を卒業して村に戻り、雑貨屋を手伝い始めて
すぐに知り合った。そして、私が子供の頃から誠子を知っていた事も有り、
急速に親密さを増すようになった。

中学の分校から、私が自転車に乗って家に帰ろうとした時の事だった。
「キミ、春夫君でしょ?」
突然、女性に声を掛けられた。振り返ると其処に誠子がいた。私はコクリと頷いた。

久し振りに見る誠子は、もともと美しい顔立ちをしていたが、気軽に声を掛けては
いけない様な、成熟した女の美しさに輝いていた。

町で三年間高校生活をしていた為に、町の洗練された匂いも、
花柄のワンピースから感じられた。村ではワンピースを普段着にしている者など、
誠子以外には居なかったのだ。

「ちょうどよかった。家まで乗せて行ってくれない、いいでしょ」
誠子はニコリと笑った。真っ白で綺麗に並んだ歯が、口元にこぼれた。
それだけで、全身の血が逆流し、一気に頭まで駆け昇っていくのを感じた。
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湖底に消えた初恋の思い出。其の四

~二人だけのじゃれ合い~
湖底に5-1
私と誠子は土手に並んで座った。まだ、あちこちに、蕗の葦がボケて残っている。

私は二人でいることに、性的な息苦しさを感じ、誠子から離れると堰の上に立った。
すると間もなく誠子も堰に下りて来て私と肩を並べた。

「キミは恋人が本当にいないの?」
誠子は流れを見ながら、ポッリと言った。

本当は好きな女の子がいた。同じクラスにいる中尾緑という女の子だった。
しかし、その子には好きと告白したわけでもなく、私の一方的な片思いだったが、
卒業間際には感動的な告白をする計画でいた。

その事を誠子に言うのは気が引けたし、彼女がいないと言うのは実際に嘘ではなく、
そして無難なことの様に思えた。
「いません、彼女なんて・・・」
「そう、じゃ私がなってあげてもいいわ。それとも年上の女は嫌い?」
「・・・」
「ビックリした?」
「少し、でも誠子さんには恋人いるんでしょ」
「そう見える?」
「とっても綺麗だし・・・」
「まっ、オマセさんね」

誠子は言い終わった瞬間、私の頬に突然、唇を押し当ててきた。
それは、ほんの一瞬だったが、はっきりととした唇の柔らさを私の頬に残した。
私の頭の中は、何も考えられないほど、真っ白に成り、顔は燃えている様に上気して、
ボーッと熱くなるのを感じた。
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湖底に消えた初恋の思い出。其の五

~私を焦らさないで~
湖底に4-1
「誠子さんの心臓の音・・・とっても早く打っている」
「きっと、あなたとこうなれて、嬉しいからだわ。もう少しだけ・・・力を入れてみて」
「痛くはない?」
「そのかわり優しくね。さあ、やってみて」

誠子は乳房の上にある私の手の甲に、自分の掌を重ねて、私に教えるように、
少しだけ力を入れて円を描くように動かし始めた。しかし、ブラウス越の愛撫は、
乳房の弾力を感じても、どこかもどかしさを私に感じさせた。

直接、触れてみたいと思った。
だがそれを自分から言い出す訳にも行かず、ブラウスを脱がす勇気もなかった。
仕方なく私は、誠子の導くまま、単調な手の動きを続けていた。
それでも、興奮は極致にたっしてる。ひどく喉が渇き、パンツの中のペニスが
張ち切れそうなほど猛り立っていた。

次第に誠子の体に、乳房の愛撫で反応が出始めた。
誠子は息を乱して、体を気持ち良さそうに悶えさせ、
時々「アッ、アアー」という小さな快感の声を上げるまでになった。

首筋には汗がジットリと滲み出して、襟足の後れ毛がそこに貼り付いていた。
それを指先で掻き揚げてやると「ハフーン」という声を漏らし、体を激しく捩る。
誠子は直接の愛撫が欲しくなったようだ。
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満月の夜の欲情。其の一

満月1-1
小豆島は、瀬戸内海に浮かぶ風光明媚な島です。
「二十四の瞳」という映画の舞台になった所で、オリーブの島としても有名です。
大阪や神戸から比較的近いという事もあって、四十年前の当時から、
夏になると浜辺の海水浴場に都会の男女たちがやって来て賑わいを見せていました。
そして眺めの良い高台には、金持の別荘なども点在していました。

あのころは、ほんとうに海も綺麗で、魚もたくさん獲れました。
私は、二十歳でした。べつに島が好きだと言う訳でも無かったのだけれど、
これと言った野心も無く、平凡な地元の漁師としての暮らしを送っていました。

私はもともと本を読んだりものを考えたりするのが好きな性質で、
そりゃあ満たされない思いは人一倍あったのですが、都会に出て一旗上げたいとか、
そんな野心はなかった、ということです。

そう言う野心は、むしろほかの漁師仲間の方が強く持っていた様な気がします。
なまじ都会に近いし、夏になればそうした華やかな男女を沢山見掛けたりもする訳で。
おまえは漁師にむいていない、とよく人から言われました。
騒々しい事が嫌いで、余り人付き合いが良くなかったからです。

四十年前と言えば、田舎にはまだまだ古いしきたりとか習慣といったものが残っていて、
海が好きだからと言うだけで漁師が務まると言うものではありませんでした。
誰も俺の事は判って呉れない・・・満たされなさの原因は、そう言うところにありました。
多分そんな悩みは、恋愛でもすればたちまち軽くなってしまうのでしょうが、
高校三年の時に手ひどい失恋をし、女性不信になり、それをずっと引きずっていました。
それに他の漁師仲間のように、水商売の女を相手に溜まった性欲を吐き出すという
遊びも、どうしても出来ない性分でした。

高校は、四国本土の高松まで通っていました。学校の先生は大学に進める学力は
有ると言って呉れたのですが、何しろ長男で、下には弟二人と妹がつかえているので、
我侭が言える立場ではありませんでした。
だったら、へんな会社に就職して人に使われるより、親父を手伝って腕一本の漁師で
稼いだ方がいい、と決めたのでした。
島の人間関係はうっとうしかったけれど、海は好きでした。

漁師仲間が青年会の集まりで島の娘の噂やらスケベな話しで盛り上がったり、
若いホステスの居る飲み屋に繰り出したりしている夜、私は一人で船の機関室に
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」や、倉田百三の「出家とその弟子」などと言う本を
持ち込んで過ごすのが楽しみでした。
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満月の夜の欲情。其のニ

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其れが、あの噂の美女だったなんて、その時私は見た事も無かったのだから
知る良しも無く、ただもう不安ばかりが先にたちました。
夜の闇が降りたと言うほどでは無いけれど、水平線近くの夕焼けの色も紫色に変り
初めて、点在する瀬戸内海の島影も殆んど黒いシルエットになっていました。

私は警察ではないし、夜の海で泳いではいけないという法律が有る訳でもないし、
放って置けばいいだけだったのかも知れませんが、私にだって島の人間としての
素朴な人情と海の男としての経験も有ったわけで、
やっぱり知らんぷりは出来なかったのです。

やがて白いキャップの頭は進むのをやめ、仰向けに成って浮かんでいるだけになりました。
ちょつと余裕たっぷりの風情です。

スイミングスクールやフィットネスクラブがどこにでも有る現代と違って、
あの頃泳ぎの上手な都会のお嬢様なんて、滅多にいるものではありませんでした。
やっぱり、泳ぎ慣れた地元の娘だろうか・・・そんな風に思えてくると、
今度は少し腹が立ってきました。人騒がせなことをしやがって、と。

面倒だから帰ってしまおうか、と思いかけたその時、
白いキャップの横から手が中に伸びて、ばたつかせ始めたのです。

大変だぁ・・・!
陽が沈んで水温が下がってきているから、足がつったのでしょう。
そんなことになりゃしないかと、考えてはいたのです。
もう迷ったり怒ったりしている場合ではありません。直ぐに海に飛び込みました。

海水パンツは穿いたままでした。
家が近いから、その上にアロハシャツなんかを着ただけで行き帰りするのが、
我々漁師仲間の習慣でした。

たぶん、岸から三百メートルくらい離れていたと思います。
夢中でクロールの抜き手を繰り返して進み、半分以上来た処で顔を上げると、
その女〈ひと〉は急に手の動きをやめて沈んでゆく様にみえました。

やばい・・・!さらに手のかきを早めながら、今度は前の方も見ながら進みました。
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満月の夜の欲情。其の三

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彼女の名は、北沢典子。神戸の貿易会社の社長の娘で、島の別荘に婆やさんと
一緒に来ているとの事でした。水泳が上手いのは、自宅の近くに浜寺水練と言って
当時日本で最も有名なスイミングクラブがあり、小さい頃からずっと泳いで居たそうです。
古くはベルリンオリンピック平泳ぎ金メダリストの前畑秀子を輩出し、
今でもシンクロナイズドスイミングのメッカになっているクラブです。

典子も中学生の時までは、水泳選手を目指して毎日練習に明け暮れていたのですが、
ある時心臓に欠陥が見つかって断念せざるを得なくなった、と言います。
であれば、あの時海に入っていったのは、自殺するような思いもあったに違い有りません。

「そんなこと、あらへんわよ。久し振りに泳いでみたかっただけよ」
と言って笑うばかりですが、お金持のお嬢様の割りに余り幸せそうでは無かったし、
性格的にも、なにかやけっぱちの激情といったものを感じさせる女〈ひと〉でした。

息を吹き返して、「なあんだ」と呟いたのも、すくなくとも死ぬ覚悟を決めて沈んで
行ったからでしょう。本人が思うほどあっけなく生き返った訳でもないのですが、
私は変な悪戯をした後ろめたさもあって、べつに苦労もしなかった、と言っておきました。

「泳ぐ事に掛けては、漁師の貴方より私の方が上手いわよ。
 こんど一緒に競争しましょうか」
「いや、其れは認めますから、もう泳がん方がええですよ」

その夜私は、胸が苦しいと言う典子を背中におぶって、高台の別荘まで送届けたのでした。
そしてやっぱり、彼女の命の心配よりも、肩に触れる乳房の柔らかい弾力と、
掌にぴったりと貼り付いて来る様な太腿のなめらかな肌の感触とか、
そんな生々しい女体の気配に胸を塞がれそうに成って居ました。

別荘に着くと、直ぐ六十半ばぐらいの婆やさんが飛んで来て典子をベッドに寝かせ、
医者に電話をしました。

帰ろうとすると婆やさんは、私の手を取って拝まんばかりにして礼を言いました。
「海に浸かるだけや、て言うてはりましたけど、お嬢様は無茶しやはるお方やさかい、
 わたしも心配してたんです」

婆やさんと医者には、一応事の顛末を正確に話さない訳には行かなかったのです。
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満月の夜の欲情。其の四

満月4-1
「そんなこと、あるわけ無いでしょう」
「わたしねぇ、十六の時に、親戚の叔父様にむりやり奪われたの。
 こんな汚れた身体じゃ、好きに成れないわよね」
「ぜんぜん。僕はこの一週間、ずっと典子さんのことばっかり考えとった。
 けど僕は、典子さんよりずっと汚れとる。ほんまは、典子さんの裸のこと
 思い続けておったんや。人口呼吸しとる時も、ごめん、胸を押す振りして
 オッパイを揉んでおったんや」
「うふふ、嬉しいわ、それやったら、わたしも気が楽やわ。遠慮せんといて」

典子は起き上がって、裸になりました。
「あなたも脱いで」
「うん」
私達は月の光りの下で結ばれました。

典子の秘密の草むらは、漁師仲間が言ってたのとは違い、淡く煙るようにそよいでいました。
濡れた秘裂の中心が焼けるように熱く、体の具合がまだ悪いのではないか、
と思ったほどです。私はそれまで商売女を三度抱いただけの経験しかなく、
女の中心がこれほど熱いものだとは、思ってもみないことだったのです。

何しろ下は硬い板だったから、私が下になって、その柔らかい体を受け止めていました。
典子の激しい気性のゆえでしょうか、猛烈に腰をくねらせ打ちつけてきました。

私のペニスはその柔肉の熱さと時々キュッと締め付けてくる感触にたちまち爆発し、
さらに固くなったまま柔肉に揉み込まれ続けました。

なんと言っても典子は、心臓に持病を抱えています。途中からその体をきつく抱すくめて、
なるべく動かさないようにしました。それでも二人の体からは汗の粒がほとばしり、
濡れ合ったまま典子は何度も強く頭を震わせました。

「いやよ。なあ、もっと動いてちょうだい。私をめちゃめちゃにしてぇ」
もしかしたら典子は、このまま死んでしまおうと思っているのかもしれない。
恐ろしさと興奮で私は、一挙に二度目の射精へと駆け上がっていきました。

結局その後は、一人待っている婆やさんの事も気に成りましたので、
典子に「そろそろ帰ろうよ」と言いますと、
「まだ大丈夫よ、この海で、お風呂代わりに水浴びしていこう」と言うのです。
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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