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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

忘れ得ぬ二人の女。其の一

◇覚醒した思い出
星空(天の川と白鳥座)
昔、晴れた日の東京の三多摩地区の夜空は、いつも満点の星空だった。
無数に煌く星々と月の輝きで、夜空はビロードのように滑らかな濃紺色。
天の川もはっきり見えて、家族団欒夕食中の家の中には、
星より近い明かりを求めて、クワガタやカブトムシが迷い込んで来たものだ。

夕食後は、誘い合わせた大人や子供達が三々五々に集い、
木々の樹液の香りが濃密に漂う小学校の土の校庭に向かう。

無料の夏休み納涼映画大会。
化け猫怪談映画で肝を冷やし、ターザンの雄叫びに心躍らせ、
白馬で駆ける鞍馬天狗の登場で、大人も子供も拍手喝采。
その布地のスクリーンに、興奮した子供達の懐中電灯の光輪が蛍のように飛び交い、
大人たちによく怒鳴られていたっけ・・・

「懐かしいですねえ・・・」
その呟くような女性の声に、浸っていた郷愁からふっと戻された私は、
気付かぬ間に横に立っている老婦人に視線を移した。

手入れの良い銀髪、微笑む顔の薄い化粧。淡い紺色縦縞のワンピースも長袖で、
小柄で上品な老婦人だった
「いやあ、まったく・・・」
私は曖昧に頷き、再び眺めていた頭上の映画看板に視線を戻した。

鞍馬天狗。拳銃を手に、白馬に跨る嵐寛十郎。その背後には杉作少年。
「アラカンさんの映画、お好きでしたの?」
アラカン。懐かしい響きの呼び名だ。鞍馬天狗を演じる嵐寛十郎は、
その名でしたしまれた剣劇スターだった。

「ええ、大ファンでしたねえ、この長い顔に黒頭巾が似合ってましたし、
 舞うような立ち回りにも何とも言えない風格があって格好良かった・・・
 もうこんな時代劇役者は出て来ないでしょうねえ・・・」
私はアラカン鞍馬天狗の、独特な含み声まで耳に甦らせながら、
後の方は呟く声で彼女の問いに答えた。

「ふふ、黒頭巾なんて懐かしい言葉・・・」彼女が微笑み、
「そういえば、怪傑黒頭巾の看板もありましたわよ」と、
立っている道路の背後を指さした。
「見ました、大友柳太郎。彼も好きなスターだったんです。あなたも・・・?」
「いえいえ、私は女の子でしたから、あまりチャンバラ映画の男優さんは・・・
 憧れていたのは女優さんの方ですわ」
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忘れ得ぬ二人の女。其のニ

◇忘れ得ぬ二人の女
pic_9.jpg
昭和35年。
私は銀座のある老舗靴店に勤めていた。少々事情があって、
志望していた美大を諦め、前年春に高卒で入社したのである。

入社約一年間は裏方、つまり商売と靴の基本を習うために、
仕入れや在庫管理の仕事を行う浅草の倉庫部で働いて、
やっと華やかな銀座本店に通い始めたころだった。

確か、早春。そう、店長が美大志望の私の稚拙なセンスを買ってくれて、
銀座通りに向けた宣伝垂れ幕を書かせてくれたバーゲン中だったから、二月の末。
外は寒い最中だが、二ヶ所の暖房の石油ストーブを消すほどの暑い混雑の中。
一人の接客を終えた私は、背後から小さな声で名を呼ばれて振り向いた。

「やっぱり、瀬川君だ・・・」
若く綺麗な、見知らぬ女性だった。私は一瞬キョトンとしたらしい。
その私の表情に、彼女の白い頬がプクッと膨れた。
「忘れちゃったの?私は、すぐに君が分かったのに!
 渋谷の○○小学校の同級生の、横山千穂子よ!」

ワッ、と思った。小学校を卒業してミッション系の女学院に進学した千穂子。
淡い恋心をいだいていた少女は、信じられないほど変貌していた。

長い睫毛は同じでも、細い眼は切れ長に澄んで、色黒だった肌も白く、
頬もふくよか、瘠せてた四肢にも肉が付いていた。
「おどろいたよ。綺麗になったんで・・・」
「ばか、こんなに忙しいのに、お世辞なんかいらないわ!
 それより、ねえ母の靴を選んで上げて。
 混み過ぎて外に出ちゃったの、今連れてくるから、ね!」

身を翻して客の間を縫い、外に向かった千穂子が母親の手を引いて、すぐ戻ってきた。
確かに今の千穂子に似た上品な中年女性だった。小学校時代に会っていたら、
あまり似てない母親だと思ったかもしれないが・・・。
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忘れ得ぬ二人の女。其の三

◇素晴らしき肌
渋谷駅の昔
珍しく澄子は酔った。最初にデートした、渋谷のトリスバーだった。
井の頭線下北沢に住む彼女と、東横線祐天寺に自宅がある私は、
勤め帰りに便利なそのバーで飲む事が多かった。

その夜の澄子は何か不機嫌だった。
私や、気心知れたバーテンとの会話も少なく、飲むピッチも早かった。

十時頃、澄子の門限前だが、冗談を交わしていたバーテンが隣の澄子に
顎をしゃくり、首を横に振った。
「変だね、できあがっちゃったよ・・・」
澄子はカウンターに顔を突っ伏していた。確かに変だ。何時もと違う。

私は帰る事にした。酔った澄子を止まり木から下ろし、
抱き支えながらバーの扉を押して、トロリーバスの大通りに出た。
右側は明るく東横デパート、都電のターミナル。左は宮下公園の夜の闇。
抱き支え、密着しているのは、初めて知った澄子のムッチリと温かい柔肌。
私は彼女のふらつく身体を闇に誘った。

「ベンチで、少し休もう・・・」酔眼を覗き込むと、澄子はウンと頷いた。
ベンチに座らせると、澄子の重い身体が、私にもたれ掛かってきた。
街灯の明かりに白い顔。薄手のセーターを盛り上げた、円い胸も大きく波打っている。
私は堪らず、澄子の顔を片手で仰向かせてしまった。

澄子は一度開いた眼を閉じた。赤い唇がキスを誘ってわなないた。唇を重ねた。
澄子は苦しげに喘ぎ、早くも舌をうねらせて、私にしがみついてくる。
赤い口紅は妙に甘ったるく、絡み合う舌にまでその味を移していて、
私を恐ろしく興奮させた。

セーターの乳房に掌を当てた。ムワッと弾む柔らかい膨らみ。興奮は頂点に達した。
乳房を揉まれる澄子も同じなのか、両腕に力を込めて私にしがみついてくる。
狂おしく舌をうねらせ、紅の甘さを私の官能に塗り付けてくる。
勃っていた。私のペニスは痛いほど、ズボンの内で勃起していた。

「澄ちゃんが、欲しいよ・・・」
囁いた私の口の周りは多分、彼女の口紅で真っ赤に染まっていたろう。
その紅が剥げた澄子の唇は、街灯の明かりを受けて艶やかに濡れ光っていた。
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忘れ得ぬ二人の女。其の四

◇最高の女性の悶絶姿
小林ひとみ36
そのように肉体関係になり、さらに親しくなった私達だが、
澄子の門限は未だに生きていて、バーで飲めば連れ込み旅館に入る時間が無く、
飲まずに彼女の媚肉を求めるのは何か飢えている獣みたいな気がして、
私は痩せ我慢の日々を送るようになった。

それでも、初夏を迎える頃までに、私は門限前に二度ほど澄子を抱けた。
しかし、彼女の性感の成長はなかった。
「ねぇ、私と善ちゃんは、何でも話せて、
 いつも仲良く飲める親友でいた方が良いのかもしれないね・・・」

そうなのか、と私も頷きたくなった。だが、澄子の裸身は余りにも魅力的だった。
その肌を抱く事も私の恋の悦びだった。
私は澄子の性器を舐め、そんな味気無い言葉を掻き消そうとした。
でも駄目だった。彼女は嫌悪の表情を浮かべて、その愛撫を拒否するのだった。

五月初旬。澄子は念願かなって、本店に移動する事になった。
その本店の定休日が、銀座の商店街と同じ月曜日。
「今度は休みが一緒だから、映画も観にいけるよね!」
澄子は目を輝かせて、そう言ったが、私にとっても嬉しい事だった。
昼間からデートが出来るし、外食し、映画を観た後で、
門限を気にせず交われば、彼女の反応もまた違うはずだった。

私はその定休日を心待ちにしていた。
その初旬のある日、横山千穂子が一人で私の店に現れた。
この日も買い物ではなかった。
「ねぇ、今度の月曜日は定休日でしょ?歌舞伎座のチケットがあるから、
 良かったら一緒に観に行きませんか、と母から言われて誘いに来たんだけど・・・」

表情が、何かに怒っているように強ばっていた。口調も妙に真剣で早口だった。
私の初恋の女性。その母親からの誘い。心は少し揺らいだが、月曜日。
私はあらぬ理由を考えて即座に、でも丁重に断った。

「そう、じゃあ仕方ないわ、またね!」
千穂子はあっさり頷き、さっと身を翻して店から出て行った。

「おいおい、良いのか、歌舞伎座だぞ?」
そばに居た先輩が苦笑して、
「そうか、歌舞伎座が何なのか、まだ知らないのか・・・」
馬鹿にしたように呟いた。
「知ってますよ、歌舞伎座って、勧進帳の芝居なんかやる劇場でしょう?
 僕の趣味じゃないんですよ、古臭くて・・・」
そうやり返したが、その先輩の苦笑の意味が判ったのは、月曜日の夜。
渋谷の連れ込み旅館で、澄子が教えてくれたのだ。
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忘れ得ぬ二人の女。其の五

◇同時に去った二人の女
ひまわり
虚脱状態になった澄子。美しかった、愛しかった。
「澄ちゃん、本当に結婚しようよ・・・」
私は、寄った時より目の縁を赤く染めている澄子に囁いた。
はぁはぁ、と喘ぐだけで彼女は無言。汗が光る乳房、凹んだ白い腹の、
その汗を溜めた臍も、まだ苦しげに波うっている。閉じる力を失った太腿。
それは真実エクスタシーに達した女体の赤裸な姿だった。

「死にそうになったわ・・・」薄く眼を開いた澄子が、やっと声を漏らした。
そして、重そうに両手を伸ばして、私の抱擁を求めた。
「恐かった、何か、身体も心も何処かに堕ちて行くようで、
 気持ち良いんだけど、恐かった・・・ああ・・・」
澄子が私の胸に顔を埋めて呟く。その息はまだ乱れて、熱い。

「ね、俺と結婚しよう!澄ちゃんと、こんな風に、毎日一緒に暮らしたいんだ!」
汗に濡れた彼女の背を強く抱き寄せた。
「だめよ・・・私ねえ、父親に結婚相手を決められちゃったの・・・
 だから、善ちゃんと、こうなりたくなかったんだ・・・」
「決められちゃった・・・それ、もしかして、あの日だったの?」
澄子は答えなかった。
私の太腿を挟んだ脚に力を込めて、無言で身を擦り寄せてきた。
それが答えだった。

「わかった、俺は澄ちゃんのお父さんに会うよ、必死に頼んでみるよ!」
駄目、と澄子が顔を上げた。眼に強い光りを込めていたが、潤んでいる。
「私のお父さん、堅気の人じゃないの。
 入れ墨背負ってるの、だから、会っちゃ駄目・・・」
堅気じゃない?入れ墨。彼女の父親はヤクザ・・・。

嘘なのか本当なのか。意外な澄子の告白に私の頭は混乱した。
自然に彼女を抱く腕の力が緩んで、するりと私の腕の中を擦り抜けた澄子が、
静かに身をおこした。

「判ったでしょう、気持ちはとても嬉しいけど、結婚は出来ないのよ・・・」
紅が落ちた唇に寂しそうな笑み。明るくヒマワリのような澄子には似合わない。
だが、私は立てなかった。
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惨めな初体験。其の一

◇夢に現れた願望◇
lowson2.jpg
コンビニエンス・ストアを出た私は、広い通りを横断して、
数十メートル先にある大きな公園に向かった。
風は冷たいが陽気は良い。見上げる三月中句の空は青く、
高い位置のうろこ雲の下を白い飛行機雲が一筋、
西に向かって描かれていた。

昼時を過ぎていたが、樹木の陰には憩う人の姿も多い。
幼児と若い母親、パジャマ姿の男達も居た。公園裏には市立大学病院がある。
退院間近の入院患者だろう、と勝手に想像しながら、私は広場の中央に向かう。

噴水があり、四隅を木製のベンチに囲まれた割り丸太のテーブルがあった。
目映い陽射しのせいか、無人だった。
テーブルを挟んで噴水と向き合う位置のベンチに座る。
眼前に噴き上がる水柱の頂点が、風に散らされて涼しげに、
キラキラ光る霧に成って居る。その飛沫で和やかに濡れた草地に、
鳩や雀達がひょいひょいと飛び歩いている。

良い場所だ。私は独り満足して、
コンビニの袋からサンドイッチと烏龍茶のミニ・ボトルを取り出した。
最近は好きだった釣りも億劫になり、友とのゴルフも腰を痛めてから敬遠しているから、
陽光の温かみ風を心穏やかに浴びるのは久ぶりだった。

「私もお休みの日には、時々あの公園で子供とお弁当を食べるんですよ。
 何かちょっとしたピクニック気分に成れるんでよ・・・」
そう言って、サンドイッチを買った私に、公園の利用価値を教えてくれたコンビニの
パート店員、下山しのぶ(仮名)の笑顔に夢中で納得して、烏龍茶の栓を開け、
サンドイッチの帯封を解いた。其の気配を察したのか、横の草地を歩いていた
鳩の一羽が首を傾けて、私を真ん丸な片目で見上げた。

私は思わず独り笑った。其の鳩の姿に、下山しのぶの容姿が重なったのだ。
二人の子持ちで二十七、八の主婦である彼女は、身長が百五十センチそこそこと、
小柄な上に、ムチムチとした固太りの肢体。当然のように、いつも身に着けている
コンビニエプロンの胸元も厚く、典型的な鳩胸タイプの熟女だった。

もちろん首回りも太めで、時には覗き見える首下の肌には鎖骨の翳りもない。
ムッチリとした二の腕や太腿も短く、要するに、やや肥えた子供のような体型なのだ。
むろん悪口ではない。
気軽にひょい、と抱き締めたくなるような、愛らしい肉付きをしているのである。
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惨めな初体験。其のニ

◇記憶の底から甦った女◇
お母さん03
アイシャドーに彩られたしのぶの二重の切れ長の眼が、緩やかに大きく見開かれた。
見慣れた可愛らしさが消えて、熟女らしく妖艶な美しい瞳だった。

全裸である。私はその円くふとやかな両の二の腕ごと、立ったまま彼女を抱いていた。
仰向くしのぶの顔は私の顎の下だ。唇からは小さく白い歯も覗いている。
その口元も、抱いた肌も震えていた。其の肌の感触は、私の想像通りだった。
彼女の肉体の何処の箇所もムチムチ、ムッチリ弾んでいる。

私はキスを求めた。目を閉じたしのぶは拒まなかった。息が荒い。
濡れて蠢く舌の奥から噴き出す、熱い喘ぎが生々しい。
爪先立ちように背伸びした彼女の腹部に密着して、
私のペニスは強烈に怒張していた。そのペニスをしのぶの小さな手が握る。

その指が五匹の白い芋虫になった。陰茎の周囲をずりずり、
しっとりした感触で這い回る。その甘美さに、私は喘ぐでも芋虫で射精は嫌だ。
そう思うと芋虫が消え、ベニスは再びしのぶの、小さく柔らかい掌に包まれた。
そのペニスは、鋼のように硬かった。しのぶの短い指の輪の中では大き過ぎ、
亀頭は雄々しくはみ出していた。

そのとき私は、これは嘘だ!と囁く自分の声を聞いた。
確かにそうだ、最近の私の男根が、こんなに硬く逞しい筈が無いのだ。
しかし、其の嘘を追求すれば、夢が醒めてしまう。
そんな囁きも頭の中を走り抜けて、私は彼女を抱き倒した。

その態勢なら私には見えぬはずの、しのぶの全裸が、何故か眼前に広がる。
白い鳩胸。その形も想像通りだった。ふくよかな円丘の裾を柔らかく左右に崩して、
子を育てた乳首が太い。咥えて引っ張れば、一センチ以上は伸びるだろう。
私はしのぶの乳房を片手に握った。ふっくらと柔らかく、その感触も私の想像通りだ。
その搗き立ての餅のような膨らみを揉みながら、
私の視線はしのぶの下半身に流れていく。

闇の中で肌が白く輝いている。腹部の肉は厚いが、弛んではいない。
引き締まって筋肉質に硬い。好く働くからだ。そんな囁きが脳裏に響く。
閉じている太く短い太腿には隙間が無く、やはり餅のように膨らんで、
股間に漆黒の恥毛が僅かに覗いていた。
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惨めな初体験。其の三

◇下心のあるデートコース◇
昭和34年頃01(当時の花形特急こだま)
飯島響子は、私と同じ年齢だった。卒業した高校は違うが、
その老舗には同期入社で、結構仲が良かった女だった。

小さく細い眼、尖った口。顔全体の造作が前に突き出したような、
キッネのお面に似た顔で、どちらかと言えば醜女に近い彼女だったが、
乳白色の肌はツルツルで美しく、その小柄な肢体は妖精と謳われた、
ブリジット・バルドー張に均整が取れていた。

その通りに、裸になると乳房は形良く円く、閉じても隙間が無い太腿の
肉付きは弾力的で、股間の茂みは淡く、陰唇は綺麗な桃色だった。

私はハッと眼を開いた。その裸身はもとより秘部すらも、思い出せるのが当然、
どうして忘れていたのだろう。仲が良かったどころではなく、
飯島響子は私のセックス初体験の相手だったのだ。

普通は、初体験の相手は、男女共に忘れられないものだという。
しかし私は、彼女とのその事実を忘れた。いや、こうして思い返せば、
忘れよう、と私は記憶の底に封じ込めてしまっていたのだ。

理由があった。セックス初体験の失敗・・・。
私はその状況をまざまざと思い出し、耳に血が昇るのを知った。
失敗した事ではなく、事後の響子に対する私の仕打ち。
苛めとしか言えない、悪さをした事に・・・。

昭和34年。私は19歳だった。老舗で働いて二年目の私に、
暮れの賞与が支給された。当時の給料、賞与は全て現金で手渡しだった。
いやに薄い封筒を開けたら、千円札数枚と手が切れるような新札の
一万円が入っていた。高卒の私の給料八千円余りでは手に出来ぬ高額紙幣で、
今までの賞与でも届かぬ万札だった。

同期入社以来、常に賞与を見せ合う仲だった飯島響子にも、
その万札がピッタリ一枚だけ支給された。
彼女はぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。
「こんなお札を貰うと、何だかお金持ちになった気分で嬉しい!」
帰りに飲みに行こうよ、と私を誘う。
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惨めな初体験。其の四

◇亀頭で感じる女肉の熱さ◇
我が新婚時代09-2
小さな灯油ランプだけの暗い座席に並んで座れば、会話はどうでもよい。
互いのコートを脱ぎ合い、すぐ引き寄せた響子の肩を抱いて、初めは抱擁。
互いの息が荒くなったところで唇が密着する。

初めてのキスだ。その興奮も有り、私は震えながら、響子の閉じた唇を
舌先で押し開いた。響子も震えていた。
そのやや反っ歯気味の歯に触れた私の歯が、カチカチ、カチカチ音立てる。
だが、その音よりも、私の心臓の鼓動は高かったろう。

やがて歯の鳴る音が消えて、唇は永劫に離れぬ接着剤でくっ付いたように密着し、
私の舌は響子の熱い吐息と濡れた舌に絡まれ始める。
私の首に回された彼女の両手にも力が篭もり、
セーターの上から乳房を揉む度に、乱れて激しい鼻息が漏れ出した。

初めて触れた女の乳房。それは甘美な弾力を秘めていて、私の欲情を狂おしく
刺激し、ズボンの中で勃起したペニスを、精が漏れそうなほど硬直させた。

その逸る気持ちも息苦しく、私はキスを外した。
響子が私の胸に顔を押し付けてきた。抱いた背中の下で、心臓がドキドキ
弾んでいるのが判る。私は強ばった彼女の上体を強引に起こして、
腹から捲り上げたセーターの中のシャツのボタンを外す。

次はスリップとブラジャー。首元から響子の胸肌に直接潜り込んだ私の片手は、
温かく汗ばんだ響子の甘い甘い膨らみに触れた。

柔らかだった。響子の乳房はゴム毬のように円かった。その膨らみを掌で包んで
彼女にキスを求める私の息は、燃える炎のようだったろう。応える響子の喘ぎも、
揉む乳房の肌も火のように燃えている。
「修ちゃん・・・」
響子の顔が仰け反った。

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惨めな初体験。其の五

◇記憶の奥に封印した初体験◇
消えた夫と・・・2-1
私は惨めな気分で浴衣を脱いだ。響子は背中を向けて動かない。
キザで格好良い男を演じてきたのに、なんて様だ。
私のペニスは小さく縮んでいた。

しかし、時間はまだある。気を取り直した私は、響子に寄り添い横たわった。
初めからやり直すのだ。
背中から浴衣を脱がせて、スリップも頭から脱ぎ取った。
柔順に四肢をくねらせた響子が、全裸になると同時に、
私にしがみ付いて来る。それを仰向かせて、甘く弾む乳房を揉み、
乳首を口に含み、片手を股間に這い降ろした。

柔襞の感触は湿っていた。恐る恐る指先を肉穴に進めると、指は入った。
響子が肌を強ばらせ、小さな声を漏らす。密着した肌が熱く火照っている。
指が埋まった膣道はそれ以上に熱い。私の欲望も再熱してきた。

響子がまた震え始めた。顔を両手で隠し、狂おしい鳴咽のような声を漏らす。
私のペニスは完全に復活し、筋を張る。
私は身を起こし、慎重に狙いを定めて、怒張した亀頭を恥丘の裂け目に当てた。
くびれた彼女のウエストを両手で押さえ、
女体の奥へと、ペニスを強くゆっくり押し込んだ。

今度は入った。赤い恥唇を裂き、亀頭が割れ目に埋まる。
響子が喉で呻いて仰け反る。顔から離れた両手がシーッを掴み、
乳房や腹部が激しく波打つ。その股間に半ば埋まった私のペニスは、
甘美に熱い粘膜に包まれて、またもや快感に痺れる。

ここで暫し我慢して、押し込め!私は自分を叱咤した。
そのとき表情を歪めた響子が、腰をくねらせた。
途端に亀頭が抜けて、ペニスが勢い良く撥ね上がった。
焦った私はペニスを握り、響子の恥唇に亀頭を押し付けた。
そんな風に握ったのが悪かった。焦って挿入しようとするペニスを指が刺激し、
またまた私は射精の快感に襲われて、耐える間もなく果ててしまったのである。
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若き日の少女の純愛。其の一

◇夢に出てきた女
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その早朝、私は面妖な夢を見た。
能面の鬼達が、太鼓を打ち鳴らしながら舞い狂う、
石川県能登の郷土芸能[御陣乗太鼓]の夢だった。

御陣乗太鼓は私の好きな演太鼓の一つで、二十数年前に再婚妻と能登を旅し、
曽々木海岸のホテルでその演舞を見た経験がある。だから、その夢自体は別に
妖しくはない。いや、妖しいどころか、夢の中の私は妻と共に、鬼達と一緒になって
太鼓を連打していたのだから、夢としてはたのしいものだった。

だが私は、目覚めてから奇妙な事に気が付いた。夢の中の女性は妻ではなかった。
なのに私は、その別人女性を夢の中で妻として受け入れていた。

(はてな・・・)私は首を捻った。
ゆっくりと覚醒していく脳裏に、夢に現れた女性の、顎だけが少し尖った丸顔。
目尻に笑み皺がある丸い眼や、上を向いた鼻、そして白い前歯の二本だけが
大きい、オチョボ口が浮かんでくる・・・。

「あれはアコ、外川朝子だ・・・」
呟いて、隣の寝床で軽い寝息を漏らしている妻の顔を見つめた。
能登に同伴したのは、その直後に入籍した、この15歳も年下の
二度目の妻であるのは間違いない。
それが、どうして夢の中で、朝子と入れ替わったのだろう・・・。

フロイトの言によれば、『夢は無意識的な己の願望の充足である』であり、
その意味では確かに、私には思い当たる事がある。

二十八年前、前妻と別れる原因となった女性が朝子だった。
私の意識の奥底に、朝子への想いが潜んでいたのは否めない。

しかし夢には、[夢枕]の言葉もある。
(もしかして、朝子の身に・・・)そう考えると、私は戦中生まれの七十二歳の日本人。
夢占いは、不吉な方に傾いてしまう。

朝子と私は、彼女に言わせると[赤い糸]で結ばれた縁だったらしい。
だが私は、その赤い糸の存在に、三十年前まで気が付かなかったのである。
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若き日の少女の純愛。其のニ

◇華やかな世界
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そんな可愛げのない朝子から、私は自然に離れていった。
その年流行った言葉で言えば[不快指数]が50%の少女。
前年ヒットした映画タイトル[勝手にしやがれ]である。

それに、その時の私には恋人がいた。
さらに夏から、私は舞踏用品部の[日劇]係にもなっていた。
それは華やかで愉しい仕事だった。
昭和三十三年から始まったウエスタン・カーニバルで隆盛した日劇は、
宝塚レビューでも客を集め続けていた。
さらに、その日劇の上階にあるミュージック・ホールの上品でエロチックな
レビュー・ショーは、連夜満員になるほどの人気を呼んでいた。

まだ公には、ポルノが解禁になってはいなかった。
ピンク映画の第一号と言われる[肉体の市場]が封切られるのは、
翌年の三十七年三月である。
裸の女体を堂々と観られるミュージック劇場に男が群がるのは当然だった。

その劇場の舞台裏に、私は自由に出入り出来たのだ。
成熟した女性の裸身を間近に見られて、親しく会話も出来る仕事だった。
朝子など、とても構う気にはなれない。

その業務は、男女ダンサーの舞台衣装をオーダー・メイドで販売する事だった。
男性ダンサーはともかく、女性ダンサーの身体サイズを測る時は眩しい。
相手の女性のむほとんどが素足素肌の裸。ミュージックホールのダンサー等は、
乳房丸出し、股間には小さなバタフライのみである。
しゃがんで彼女らの下半身を測る私の眼には、眩し過ぎる。
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儚く消えた年上の女。其の一

◇エレベーターガール
儚く1-1
昭和三十七年(1962年)六月中旬の午後五時過ぎ、
私は地下鉄銀座駅の狭い階段を昇り、鳩居堂前の銀座通りに出た。

銀座のデパートや商店が定休日になる月曜日。表通りは閑散としていて、
歩く人の姿も何時もより少なかった。
通りを往来する都電の車輪の音も妙にのんびりと響き、蒸し暑い地下鉄から
出た身には、普段と違う静かな街の空気は爽やかに感じる。

私は脱いでいた夏ジャケットに腕を通し、六丁目方向に歩き出した。

空は明るく晴れていた。だが、私が歩く側の歩道や都電通りは、
西日を背にした建物の影がほの暗く覆っていて、立ち並ぶ柳並木の緑も黒っぽい。
逆に通りの反対側、松坂屋デパートの上部は残照を浴びて、
休店しているのに目立って明るい。

小松ストアの手前で右に曲がり、不二家洋菓子店の前を通って、
私はニブロック裏の、みゆき通りに向かう。

銀座の裏通りは月曜日でも賑わっている。勤め人相手の飲食店が多いからだ。
特に、みゆき通りの三平食堂のガラス張りの一階二階は、
早くも宵の雰囲気が漂う日陰の中に煌々と明るく、
庶民的なガラスの二枚扉を出入りする男女の姿も多かった。

その手前にあるトリス・バーの看板にも照明が入っていたが、
柳原史子と待ち合わせた時間は六時半。幾らなんでも早すぎた。
初デートなのに、事前に酔ってしまっては洒落にも成らない。
西日に向かって少し進み、私は小さな喫茶店に入った。

念願叶って、史子との初デート。私の懐には、給料の前借分を足して、
九枚の千円札が入っていた。軍資金としては充分だし、彼女のために、
それを全部使い果たしても悔いは無い。気分も高揚する。

その彼女、柳原史子は私より七歳上の二十九歳で、未だ独身だった。

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儚く消えた年上の女。其のニ

◇同伴喫茶
儚く2-1
空はまだまだ明るいが、みゆき通りはすっかり夜のムードになっていた。
この通りをうろつく若者、みゆき族が発生するのは二年後の昭和三十九年頃からで、
まだこの頃は、トリス・バーやニッカ・バーが軒を並べる大人の飲食街だった。

私は人込みを縫って、西銀座通りの角にある、地球儀型のネオン看板を
屋上にした森永ビルに歩く。その一階のゴルフショップの前が、
史子との待ち合わせ場所だった。

ゴルフ店が定休日なのは承知のうえ。網アルミのシャッターの内、
ゴルフバッグやクラブが並ぶ暗いショーウインドーのガラスを鏡にして、
私は自分の姿を点検した。

髪は短め、散髪したばかり。
白地に細縞の夏ジャケットに白ワイシャツ、紺のニットタイ。
ズボンは裾が細めの濃紺で、靴は渋谷駅前の靴磨きに磨かせて、
ピカピカ輝く黒革のスリップオン。まあまあだ。

六時二十五分。眺めた腕時計から顔を上げたとき、森永ビルの角から、
淡い藤色のシャーベット・トーンのワンピースを着けた女性が駆け寄ってきた。

史子だった。
「あら、またせちゃった?」
私は慌てて首を振った。今来たばかり、と口の中で呟く。
何故か揚がってしまって、声が出なくなっていた。
制服を脱いだ彼女は、まるで別人のように変貌していたのだ。

手にしたバッグと、履いているパンプスもパール加工の濃い藤色。
口紅の色も、パールトーンのピンクに変えている。
そんなトータルファッションが凄く似合っていて、私は何か圧倒されていた。

「なんだ、待たせちゃ悪いと思って、走ってきて、損しちゃった!」
そう笑う声も若々しい。それに最新の流行色を身に纏っているせいだろうか、
史子は仕草も馴れ馴れしく、私の腕に軽く腕を絡めてくる。
そして先んじて歩き出す。

気が付けば、みゆき通りを歩く銀ブラ女性の殆どが、
シャーベット・トーンの淡い色彩の服を着ていた。

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儚く消えた年上の女。其の三

◇恥毛の中の熱い場所
儚く3-1
史子は、背を屈めてグラスにストローを差し込み、
「ここ、同伴席ね?初めて入ったわ・・・」小声で言い、上眼使いに周囲を見回す。
その怯えた兎のような白い顔を見て、私は激しい罪悪感に駆られた。慌てて、
「下が満席だったから、でもすぐ出るから・・・」と言い訳がましく囁き返した。
「ううん、良いのよ、平気。何か面白いし、もう少し居ましょうよ・・・」

ストローを口にしたまま、史子が私に眼を走らせて、微笑んだ。
そしてストローを口から放して背を起こし、柔らかなウエーブの髪の毛を撫でつつ、
私を見つめた。
「今日は楽しかったわ、でもごめんね、最後に私、だらしなかったわね・・・」
その囁くような声。優しく笑む眼。私の身体に熱い衝動が湧き上がった。

思わず、「史子さん」と熱い息で名を呼び、私は彼女の肩に左腕を回していた。
史子が悪戯っぽい笑みを浮かべて、
「うふ、私はうんと年の離れたお姉さんなのよ、それでも良いの・・・?」
引き寄せた白い顔が仰向き、潤んで光る眼と、ピンクの唇が微笑む。

綺麗だった。妖しかった。私は史子の頭を抱き締め、
紅を塗り直したその唇に、夢中で吸い付いていた。

柔らかく冷たく感じる唇だった。だが、蠢く舌は甘く温かい。
私は逆らわぬ史子を、いや、それどころか胸の膨らみに手を当てても
拒まぬ彼女と、狂おしいキスを続けた。

乳房を揉むと、史子の息遣いも荒く忙しくなった。
その喘ぎと柔肌の感触に煽られた私は、
彼女のワンピースの裾から差し込んだ片手を、太腿の肌に這わせた。

滑らかなストッキングが付け根で途切れ、温かな柔肌に触れた指先が、
バンティの布地を膨らませた恥部に押し当たる。。

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儚く消えた年上の女。其の四

◇遠くへ行きたい
儚く4-1
翌週の月曜日。一抹の不安を抱いていた私の前に、
史子は約束どおりの時間に現れ、松坂屋裏の洋食屋でご馳走してくれた。

ただ、その後、長袖の白い絹ブラウスに薄茶のタイトスカート姿だった史子は、
先夜と違う、大人の女性だった。言葉遣いも姉のように穏やかで、
優しい微笑みは絶やさないが、はしゃいだ態度は片鱗も見せなかった。

だからと言って、そんな彼女に私が落胆した訳ではない。食事前に、
「この間は変な事をして、ごめんなさい」
と同伴席での悪さを改めて詫びた私を、
「良いのよ、そんなことを謝られたら、また君と会えなくなるじゃないの・・・」
と白い頬を恥かしそうに赤く染めて、軽く睨んで呉れたのだ。

そう、私はそんな彼女の大人の面、甘えられる成熟女性の雰囲気に、
憧れていたのだ。暫くは、弟の身分で充分だ、と私は恋の原点に戻る事にした。

その日以来、私達は週に二回ほど、夜の食事デートをする仲になった。
休日が違うから、夜しか会えないのは仕方がない。
私の休みの月曜日か、彼女の休日前の土曜か金曜の夜。
私達は銀座の街を、姉弟のように仲良く徘徊した。

ただ、史子は深酔いしなくなった。
楽しげに街を歩いていても、腕をあまり絡めてこない。
若い私の獣心を刺激しないための、大人の女性の配慮だったのだろう。
むろん私も、自分の欲情を押し殺して、四月に封切られた映画、
[キューポラのある街]で純愛を守り通した、若者役を務めていた。

その結果、彼女はさらに私に心を許してくれ、八月の末頃になると、
史ちゃん、幸ちゃん、とお互いを親しく呼び合うようになり、
常連になった飲食店の連中から冷やかされるような、恋人同士になれたのだ。

そして、ケネディ大統領がキューバを海上封鎖し、
いわゆるキューバ危機が報じられた日、十月中旬の月曜日だった。
私達は銀座梅林でカッを食べ、みゆき通りのトリス・バーに入った。

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儚く消えた年上の女。其の五

◇最高のセックス
儚く5-1
私はこういう手順に慣れていない。いつも簡単にセックスできる女性しか
知らない若造なのだ。微笑みながら襖を開けて、行灯明かりが枕元にある
夜具に静かに潜り込む史子の姿を、私はぼんやりと見つめていた。

その私に史子が無言のまま微笑み、くるりと身を捻って、背を向けた。
それが私の呪縛を解くきっかけになった。私は恐る恐る夜具に潜り込んだ。
すると彼女が身体ごと振り向き、肌を重ねた私の首に両手を回してくる。

「幸ちゃんよりお姉さんなのに、私余り知らないの、教えてね・・・」
囁く声が震え、恥かしそうに細められた眼の縁も、その頬も早くも紅色に
染まっていて、睫毛や唇も慄いている。何か感動した私は、
「俺もあんまり知らないけど、乱暴にはしないから・・・」と囁き返した。

うん、と史子が頷き眼を閉じる。その唇を塞いだ。
史子は顔を反らせ、喘ぎながら、私の首にしがみつく。
夜具の上だ。互いの熱い肌とも密着している。
同伴喫茶の時よりも激しく、そして狂おしいキスになるのは当然だった。

白い顔を真っ赤にして、史子は激しい息漏らしつつ舌をうねらせ、身悶える。
その間に私は彼女の帯を解き、浴衣の前を大きく開いて、
淡い藤色シャーベット・カラーの、ブラジャーやパンティを脱がせた。

艶々と滑らかで、きれいな肌だった。乳房の膨らみは大きくはないが、
尖った乳首が小さくて可憐だ。範囲が狭い恥毛の茂みも、
私が経験したどの女性より繊細で、覗いている赤い秘烈も初々しい。

乳首を口に吸って、恥部に手を埋めた。
あっあっ、と小さな声を漏らし、史子が私の首や髪の毛を撫で回し、
力を緩めた股間を大きく波打たせた。恥唇は濡れそぼって、
吸い込まれるように柔肉に沈んだ私の指は、深く史子の胎内に進んだ。

ああっ、と顔を反らせた史子の肌が、燃える様に熱くなる。
それ以上に熱いのが膣の奥だった。襞がざわついていた。
それを指の腹で擦ると、史子の肌に震えが沸き、腰が浮き上がってくる。
股も開いた。そして弄る膣道が甘美な収縮を始めた。

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花の銀座で芽生えた恋。其の一

銀恋1-1
昭和十五年、(1940年)東京渋谷の駅前で生まれた私は、
今年三月多摩川沿いの静かな川崎の町で七十四歳の誕生日を迎えた。
戦中、焼夷弾の降り注ぐ空の下を、母親に手を引かれ逃げ延びた幼児時代。
黒煙が渦巻く天空を覆う、銀色に輝くB29の爆撃編隊の姿を、
私はおぼろげに覚えている。

敗戦後。混乱期の食糧難の少年時代は、大人が味わった苦労を、
スイトンやカボチャが主食の姿で、僅かに知っている。
つまり私には、戦中の恐怖や戦後の生活難の記憶が、殆ど無いのである。
その代わりに、青春時代の記憶は濃い。

黄金の六十年代と呼ばれた昭和中期。
日本の高度成長時代に、私は自由気ままに青春を謳歌していたのだから、
甘酸っぱい思い出が数多く残っているのは当然だった。

そんな甘酸っぱい思い出の中に、私が数多く重ねた恋愛の中で本気に愛し、
そして失恋した。忘れ得ぬ一人の女性がいた。

昭和三十四年(1959年)四月。
私は目指していた多摩美術大学を諦め、商業高校を卒業して、
銀座の老舗洋品店に就職する事にした。

その頃、一回りも年が離れた長兄が肺病になり、
勤めていたその洋品店を長期休職する事になったからだった。

別に健気な気持ちからではない。銀座の知名度が学友に対して格好良かったし、
デザイナーを目指すと言えば、もっと格好よかったからである。
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花の銀座で芽生えた恋。其のニ

◇年上の女性
銀恋2-1
私は映画スターの石原裕次郎が軽く足をひきずる、いわゆる裕次郎歩きを
真似をして歩き、みゆき通り入り口角にあるゴルフ用具専門店に入った。

その頃の私は、背がひょろ高く、だから脚も長くみえるから、
そんな歩き方も結構サマになっていたようである。

その頃は映画の絶頂期で、休日や通勤に裕次郎を真似たラフな服装を
好んで身につけていた私は、給料のすべてを使える四男坊のせいもあって、
意外なほど酒場や食堂の女性達にモテていたのだ。

いつ訪れても閑な店であった。
客が無人の店内には、顔見知りになった女店員の西田典子が一人いた。
「いらっしゃい」と笑顔を向けて、ガラスケースの上に灰皿を滑らせる。
「それ、新しいたばこでしょ?アメリカの煙草みたいで、格好良いんじゃない」

店内の床は銀座でも珍しい、分厚い緑のカーペット敷きだった。
私は短くなったハイライトを灰皿に揉み消して、
「ここは涼しいから、いいね・・・」と、これも珍しい店内奥の冷房機を指さした。
銀座の商店でも、扇風機がのさばっていた時代である。
冷房の効いた店は数少なかった。

「今日はなあに、パターの練習したいの?それとも何か買ってくれるのかなあ?」
典子が明るい笑顔を傾ける。私はその仕草と笑顔に惚れていた。

まだゴルフはこの店が常に閑なように、一部の上流階級の遊びで、
一般的には普及していない。しかし私は、高給取りの古顔先輩に強引に誘われて、
この春から数寄屋橋の角にあるビルの狭い屋上練習場で、彼の手ほどきを受けていた。

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花の銀座で芽生えた恋。其の三

◇欲望に震える接吻
銀恋3-1
私はゴルフの練習をやめた。
典子との映画デートが叶ったその日から、
その費用と時間が惜しくなったのだ。

典子は二十七歳。私は二十歳。
姉と弟のような年齢差だが、恋する私の気持ちと、
誘えば必ず映画デートに応じてくれる典子の優しさが、
私たちの関係を恋愛にまで発展させてくれたのだ。

私はその恋に夢中になった。典子も同じく、そうだったろう。
その日以降の私と典子は、休日のたびに映画を見、
毎日のように店の閉店後には喫茶店で談笑する恋人関係になった。

だが、それはあくまでも清い交際、キスも交わさぬ姉弟のような関係でもあった。
しかし、当時はそれが普通の男女の恋愛観でもあったのだ。
絶頂期だった映画の銀幕のヒーローやヒロインは、常に忍従の恋愛期間を費やして、
破局したりハッピーエンドになったりしていたのである。

現代の若者のように、心が通じ合う前に、いきなり肉体関係を迫るような恋愛は、
女の貞淑とか貞節の言葉を重んじていた、この時代の男女の間には生じなかった。
清き純愛への憧れとその実践が、若者達の心に根強く染み付いていた時代なのである。

翌昭和三十六年。
正月三日、アメリカとキューバが国交断絶した年である。
そんな世界の動きと関係なく、私と典子はますます親しくなり、
互いの友人を紹介しあい、グループとなって新宿の歌声喫茶に行ったり、
流行っていた奥多摩ハイキングに出掛けたりしていた。

その頃の写真が数枚残っている。
私の中学生時代の男の同級生三人と、典子の友人女性一人と奥多摩の
高水三山巡りをした時のものだ。

私と典子は、山社を背景にした記念写真でも、山道を歩いているスナップでも、
常に腕を組んで寄り添っている。
私はサングラスをして、袖をまくり上げた黒い長袖シャツに、細身の黒いズボン姿。
典子は白っぽいポロシャツに、これも細身のズボン姿だった。モノクロ写真だから、
その服の色は判らないが、アルバムには私の字によるメモ書きが残っている。
[ノンちゃん(私は彼女を、その頃には愛称で呼んでいた)の、イエローのシャツの
 胸のマークが羨ましい]
そうメモした理由は覚えている。刺繍されたマークは有名ゴルフ場の物なのだが、
私が羨ましいと書いたのは、その下の典子の右の乳房に密着していたからだった。

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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
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